伊福部昭 《SF交響ファンタジー》 初演40周年

こんにちは。タムラゲン (@GenSan_Art) です。

伊福部昭 作曲 SF交響ファンタジー 第1番・第2番・第3番 Symphonic Fantasia composed by Akira Ifukube ゴジラ キングコング対ゴジラ モスラ対ゴジラ 三大怪獣・地球最大の決戦 宇宙大戦争 怪獣総進撃 サンダ対ガイラ 海底軍艦 地球防衛軍 本多猪四郎 円谷英二 Godzilla, Rodan, Mothra, King Ghidora and King Kong イラスト:タムラゲン

イラスト:タムラゲン Illustration by Gen Tamura

40年前の今日 (8月5日) は、伊福部昭の《SF交響ファンタジーSymphonic Fantasia が、汐澤安彦・指揮、東京交響楽団によって初演された日です。

よく知られているように、伊福部が『ゴジラ』等の東宝特撮映画のために作曲した数々の名曲を、作曲者自身が3つの管絃楽曲に纏めた作品です。日比谷公会堂での初演は、今でも特撮ファンの間では語り草となっています。

 

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《SF交響ファンタジー》について

編成

ピッコロ、フルート2、オーボエ2、コール・アングレ、変ロ管クラリネット2、変ロ管バス・クラリネット、ファゴット2、コントラファゴット、ホルン4、トランペット3、トロンボーン2、バス・トロンボーン、テューバ、ティンパニ、打楽器:奏者4人 (大太鼓、小太鼓2、吊りシンバル、トムトム2、タムタム、コンガ)、ハープ、ピアノ、弦楽

曲の構成

後年、伊福部が語っていましたが、《SF交響ファンタジー》の「ファンタジー」は訳語の「幻想曲」から来るロマンティックな含意は全く無く、「無形式な楽曲」「各々の楽案が発展・展開していかない曲」「単なる接続曲」という意味です。ですから、この《SF交響ファンタジー》も、音楽におけるロマン主義をきっぱりと否定する伊福部らしい構成となっています。

CD「伊福部昭/SF特撮映画音楽の夕べ★実況録音盤」の解説書にも曲目が記されていますが、ここではCD「伊福部昭の芸術4 宙 SF交響ファンタジー」を参考にしました。

SF交響ファンタジー第1番
『三大怪獣 地球最大の決戦』 ゴジラの動機
間奏部
『ゴジラ』 タイトル・テーマ
『キングコング対ゴジラ』 タイトル・テーマ
『宇宙大戦争』 夜曲
『フランケンシュタイン対地底怪獣』 バラゴンの恐怖
『三大怪獣 地球最大の決戦』 ゴジラとラドン
『宇宙大戦争』 タイトル・テーマ
『怪獣総進撃』 マーチ
『宇宙大戦争』 戦争シーン
SF交響ファンタジー第2番
『奇巌城の冒険』 タイトル・テーマ
『三大怪獣 地球最大の決戦』 キングギドラのテーマ
『キングコング対ゴジラ』 格闘音楽
『モスラ対ゴジラ』 《聖なる泉》
『大怪獣バラン』 タイトル・テーマ
『三大怪獣 地球最大の決戦』 山岳音楽
『キングコングの逆襲』 逃走音楽
『キングコングの逆襲』 エレメントX
『フランケンシュタインの怪獣
サンダ対ガイラ』
自衛隊マーチ
『空の大怪獣ラドン』 飛行音楽
『フランケンシュタインの怪獣
サンダ対ガイラ』
自衛隊マーチ
SF交響ファンタジー第3番
『怪獣総進撃』 タイトル・テーマ
『キングコングの逆襲』 メカニコングのテーマ
『キングコングの逆襲』 愛のテーマ
『海底軍艦』 テーマ
『キングコング対ゴジラ』 キングコングの輸送
『キングコング対ゴジラ』 格闘音楽
『海底軍艦』 マーチ
『地球防衛軍』 マーチ

作曲から初演まで

1983年2月に五反田で伊福部昭の純音楽作品の演奏会が開催された頃、キングレコード、東宝音楽出版、東京交響楽団の関係者の三人が伊福部の特撮映画音楽の演奏会を発案します。この話を持ち込まれた伊福部は、映画音楽と純音楽とは別物と考えていたため当初は難色を示しましたが、三人の熱意に押されて快諾するに至りました。

1983年8月5日、日比谷公会堂にて「伊福部 昭 SF特撮映画音楽の夕べ」が開催されました。

午後6時開場。会場はほぼ満席で、プログラムは完売の盛況。6時半、東宝特撮映画の予告篇の上映から開始。6時50分、司会の平田昭彦が登場。続いて、プロデューサーの田中友幸と映画監督の本多猪四郎が登壇。二人の挨拶の後、10分間の休憩。

7時15分から、汐澤安彦・指揮、東京交響楽団によって《SF交響ファンタジー》第1番と第2番が演奏された後、10分間の休憩後、第3番と《倭太鼓とオーケストラのためのロンド・イン・ブーレスク》が演奏されました。

尚、この演奏会で初演された《倭太鼓とオーケストラのためのロンド・イン・ブーレスク》の原曲は、1972年に伊福部が作曲した吹奏楽のための《ブーレスク風ロンド》です。映画音楽の作品だけでは寂しいという伊福部自身の提案で、この演奏会のためにオーケストラ曲として編曲しました。

純音楽作品ですが、『怪獣大戦争』や『フランケンシュタイン対地底怪獣バラゴン』等の東宝特撮映画音楽の他に東映の長編アニメ映画『わんぱく王子の大蛇退治』の曲も盛り込まれた高揚感溢れる曲です。

日比谷での「伊福部 昭 SF特撮映画音楽の夕べ」は大成功に終わりました。客は大学生など若者が多く、坂本龍一や戸川純、中野照慶の他にロック雑誌やアニメ雑誌関係者などなど老若男女問わず多彩な客層だったそうです。

伊福部は、本来《SF交響ファンタジー》をこの演奏会のためだけのつもりで書きました。ですが、翌1984年のゴジラ復活に向けての熱気などと相俟って、その後も《SF交響ファンタジー》は再演を重ねていき、今では伊福部の純音楽作品の中でも特に演奏回数の多い人気作品となっています。

余談ではありますが、漫画『ツレがうつになりまして。』の作者・細川貂々の夫である望月昭も、ゴジラ生誕50周年の2004年にゴジラにハマり、《SF交響ファンタジー》のCDも購入したそうです。

 

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個人的鑑賞記

CD等

《SF交響ファンタジー》が初演された当時、私はまだ幼かったので当然行ける筈もなく、伊福部昭の存在すら知りませんでした。私が初めてゴジラを劇場で鑑賞したのは初演翌年の『ゴジラ』(1984) で、伊福部昭の名前を初めて知ったのは、その数年後に偶然購入した『大特撮』で、伊福部の特撮映画音楽を初めて聴いたのは、その頃普及し始めたレンタルビデオでした。

そして、私が《SF交響ファンタジー》を最初に聴いたのは、1993年に購入したCD「交響二題」に収録された石井眞木・指揮、新交響楽団による第1番でした。全曲を初めて聴いたのは、翌年に購入した東宝ビデオの「ゴジラ・ファンタジー」でした。本編映像と共に聴く《SF交響ファンタジー》全3曲、怒涛の44分は、瞬く間に過ぎました。

そのような遅れてきたファンである私でも、《SF交響ファンタジー》初演の録音からは当時の熱気が伝わってくる気がします。

尚、これまでに私が聴いてきた《SF交響ファンタジー》の演奏は、次の表の通りです。年代順に並べましたので、私が聴いてきた順とは異なります。

1 2 3 演奏年月日 指揮者 オーケストラ 媒体
1983年8月5日 汐澤安彦 東京交響楽団 CD、VHS、LD
1984年6月28日 石井眞木 札幌交響楽団 YouTube
1984年11月23日 石井眞木 新交響楽団 CD
1987年9月13日 金洪才 大阪シンフォニカー CD
1989年4月8日 小松一彦 東京交響楽団 CD
1993年5月3日 石丸寛 新星日本交響楽団 YouTube
1993年11月23日 佐藤勝 大阪シンフォニカー CD、VHS
1994年10月10日 原田幸一郎 新交響楽団 CD
1995年8月・9月 広上淳一 日本フィルハーモニー
交響楽団
CD
    2002年5月19日
※抜粋
石井眞木 新交響楽団 LIVE、CD
    2004年5月 ドミトリー・
ヤブロンスキー
ロシア・フィルハーモニー
管弦楽団
CD
    2004年5月31日 本名徹次 日本フィルハーモニー
交響楽団
LIVE、CD
    2007年3月4日 本名徹次 日本フィルハーモニー
交響楽団
LIVE、CD
    2014年1月19日放送
「題名のない音楽界」
※抜粋
佐渡裕 日本フィルハーモニー
交響楽団
TV
    2014年5月31日 大植英次 東京交響楽団 LIVE
2015年7月10日 John DeSentis   YouTube
    2016年6月12日 荻野修 栃木県交響楽団 CD
    2018年3月20日 藤田崇文 札幌交響楽団 YouTube
    2018年6月10日 曽我大介 高松交響楽団 LIVE

普段よく聴くのは、全3曲ある初演の汐澤/東響や、セッション録音の広上/日フィルですが、個人的に特に好きなのは1994年の原田幸一郎/新響です。『怪獣総進撃』マーチ後の間奏で木管が一瞬ミスるのが惜しいですが、直後の『宇宙大戦争』マーチは盛り上がります。途中のハープがアクセントになって手に汗握る名演です。

ライブ鑑賞記

私がこれまでに聴いた《SF交響ファンタジー》の生演奏は、第1番が4回、第3番が1回のみです。

「伊福部昭 米寿記念演奏会」

日時:2002年5月19日(日)
会場:紀尾井ホール
指揮:石井眞木、真鍋理一郎*、今井重幸**、榊原徹***
演奏:新交響楽団
公式サイト : 新交響楽団ホームページ: 2001-2006年の演奏会 (shinkyo.com)

《伊福部先生の米寿を祝う「四つの舞」》
  1. 扇の舞 作曲:石井眞木
  2. 魂殖ゆの舞 作曲:眞鍋理一郎*
  3. 皐月の舞 作曲:三木稔***
  4. 悠久の舞 作曲:今井重幸**
《ギリヤーク族の古き吟誦歌》ソプラノ:宇佐美瑠璃
  (オーケストラ編曲:芥川也寸志、松村禎三、黛敏郎、池野成)
《シンフォニア・タプカーラ》
《SF交響ファンタジー第1番》より抜粋

実は、これが私が初めて聴きに行った伊福部昭の演奏会でした。そして、来場した伊福部も初めて間近で見ることが出来ました。

《SF交響ファンタジー第1番》は抜粋なのが惜しいですが、とにかくパワフルな演奏でした。石井眞木が打楽器を多用する作風のせいか、ここでも打楽器が強調されています。『三大怪獣 地球最大の決戦』のゴジラ登場の曲の後に入る打楽器のドンッ!!!は、かなり強烈でした。

「伊福部昭 九十歳[卆寿]を祝うバースデイ・コンサート」

日時:2004年5月31日(月) 19:00開演
会場:サントリーホール
指揮:本名徹次
演奏:日本フィルハーモニー交響楽団
公式サイト : [伊福部昭 九十歳〔卆寿〕を祝うバースデイ・コンサート] サントリーホール 公演アーカイブ (suntory.co.jp)

《フィリピンに贈る祝典序曲》
《日本狂詩曲》
《SF交響ファンタジー第1番》
《交響頌偈「釈迦」》
《シンフォニア・タプカーラ》第3楽章(アンコール)

90歳を迎えた伊福部昭を会場全体で祝福するという企画でした。白熱した演奏が聴衆の興奮と一体化して感動的な演奏会でした。私の席のすぐ目の前に伊福部が着席したときには感極まりました。

《SF交響ファンタジー第1番》は全長版でした。本名の指揮は《日本狂詩曲》の締め括りでは飛ばし過ぎかもと思いましたが、《SF交響ファンタジー》のマーチでは最初から最後まで疾走感溢れる演奏で爽快でした。曲の後の指揮者による挨拶に続いて、ゴジラが伊福部に花束を贈呈していました(笑)

そして、これが私が最後に見た生前の伊福部昭となりました。

「伊福部昭音楽祭」

日時:2007年3月4日(日) 15:00開演
会場:サントリーホール
指揮:本名徹次
演奏:日本フィルハーモニー交響楽団
公式サイト : 伊福部昭音楽祭オフィシャルサイト 2007年3/4公演 (ifukube-fes.com)

《二十五絃箏甲乙奏合交響譚詩》筝:野坂惠子、小宮瑞代
《アイヌの叙事詩に依る対話体牧歌》歌:藍川由美 ティンパニ:高田みどり
《SF交響ファンタジー第1番》
『銀嶺の果て』『座頭市物語』『ビルマの竪琴』(和田薫・藤田崇文 編纂)
『わんぱく王子の大蛇退治』より「アメノウズメの舞」
《オーケストラのための特撮大行進曲》
《バンドのための「ゴジラ」マーチ》(オーケストラ版)
《管絃楽のための「日本組曲」》
《シンフォニア・タプカーラ》

伊福部逝去の翌年に開催された追悼的な演奏会です。卆寿記念演奏会と同じ本名徹次/日本フィルなのですが、急遽企画されたためか演奏が十分にこなれていない感じでした。

《SF交響ファンタジー第1番》は東宝ビデオの「ゴジラ・ファンタジー」をスクリーンに上映しながらを演奏するという意欲的な企画でしたのに、生演奏のせいか途中から映像とずれていきました。やはり初演の演奏に合わせて編集した映像とシンクロさせるのは至難の業だったのかもしれません。

「現代日本音楽の夕べシリーズ第17回 伊福部昭 生誕100年記念コンサート」

日時:2014年5月31日(土)
会場:ミューザ川崎シンフォニーホール
指揮:大植英次
演奏:東京交響楽団

《SF交響ファンタジー第3番》
《二十絃箏とオーケストラのための交響的エグログ》
《ピアノとオーケストラのためのリトミカ・オスティナータ》
《交響頌偈「釈迦」》

伊福部昭の100年目の誕生日という記念すべき日ににて開催された演奏会を、妻と一緒に鑑賞しました。この日の川崎は、よく晴れて暑いくらいでした。思えば、伊福部の卆寿記念演奏会が開催された2004年の東京も暑かったです。

当初、指揮者は井上道義の予定でしたが、数ヶ月前に健康上の理由で降板となり、大植英次が代役として抜擢されました。

大植が指揮する《SF交響ファンタジー第3番》は、音を伸ばす箇所と切る箇所が従来の演奏と大きく異なる独特のクセが気になりました。指揮者の解釈かもしれませんが、終結部の「ダーンダーンダーン、ダダダダ!」の最後の音が、今回は「ダーンダーンダーン、ダダダダ~~~ン!」と、異様に長く伸ばされたのには違和感を覚えました。

「高松交響楽団 第119回定期演奏会 邦人作曲家名曲選 ~アニメ・映画から純音楽まで~」

日時:2018年6月10日(日) 14:00開演
会場:香川県県民ホール (レクザムホール) 大ホール
指揮:曽我大介
演奏:高松交響楽団
公式サイト : 定期演奏会:第111回~|演奏会の記録|高松交響楽団 (tso.gr.jp)

組曲「宇宙戦艦ヤマト」(宮川泰)
「となりのトトロ」より(久石譲)
映画「八甲田山」より(芥川也寸志)
交響詩「ウルトラセブン」より(冬木透)
SF交響ファンタジー第1番(伊福部昭)
- 休憩 -
交響管弦楽のための音楽(芥川也寸志)
シンフォニア・タプカーラ(伊福部昭)

高松交響楽団は、その名の通り、香川県のオーケストラです。1951年の発足以来、119回目の定期演奏会で遂に邦人作曲家作品のみのプログラムが実現したそうです。確かに、伊福部昭や芥川也寸志の純音楽作品を地元のオケで聴ける日が来るとは感慨深かったです。

会場の香川県県民ホール 大ホールは、開場予定の13:30前から既に長蛇の列。2001席ある座席がほぼ全て埋まるほどの盛況ぶり。地元のオケとは言え、香川県でここまで邦人作曲家のみのプログラムに人が集まるとは嬉しい驚きでした。

《SF交響ファンタジー第1番》は前半のトリで、高響の演奏者は何曲も演奏した後でも疲れを見せず熱い演奏を聴かせてくれました。曽我大介の指揮は「ゴジラ」のドシラ、ドシラのテーマから飛ばし気味の若干早めのテンポ。「宇宙大戦争」の「愛のテーマ」も歴代で最速の部類かもしれません。それでも、次のバラゴン出現は重厚な雰囲気をちゃんと出していたり、うまくバランスは取れていました。金管も頑張っていますが、何よりも打楽器がパワフル!石井眞木が指揮した新交響楽団による米寿記念演奏会に勝るとも劣らない強烈さでした。

接続曲のため短縮や抜粋されることが多い《SF交響ファンタジー第1番》ですが、今回は『キングコング対ゴジラ』や『怪獣総進撃』もちゃんと2回繰り返すなど全長版なので、エラい!…と、思ったら最後の『宇宙大戦争』マーチの一部が端折られたように聞こえましたが、気のせいでしょうか?

何はともあれ、白熱した演奏で大いに盛り上がりました。

 

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あれこれ思うこと

先述したように、《SF交響ファンタジー》は、伊福部作品の中でも特に演奏頻度の高い曲です。

ですが、拙記事末尾のリストでも分かるように、盛んに演奏されるのは『ゴジラ』のテーマが入っている第1番のみで、第2番と第3番が演奏される機会が極端に少ないのが勿体無いです。

因みに、全曲が聴けるCDは、キングレコードの「伊福部昭の芸術」シリーズの第4巻「宙」が最も入手し易いと思います。日比谷での初演と比べると少しゆっくりな感じですが、伊福部が自ら監修した演奏ですので、こちらが本来のテンポなのかもしれません。

どの曲も、終盤のマーチが勇ましく、手に汗握る迫力あるコーダを迎えます。

『怪獣総進撃』と『宇宙大戦争』の疾走感溢れるマーチが交互に繰り返される第1番や、『海底軍艦』マーチの後に間髪入れずに続く『地球防衛軍』マーチが豪快な第3番は、勿論素晴らしいですが、個人的には第2番の『フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ』のメーサー・マーチに特に惹かれます。絃楽器を絡ませた悲壮な響きが美しく、この個所を何度も繰り返して聴きたくなります。その後、『ゴジラVSモスラ』等でもメーサー・マーチが流れましたが、この第2番のアレンジが一番好きです。

ところで、2011年4月17日にNHK-FMで放送されたラジオ番組「FMシンフォニーコンサート」では、《SF交響ファンタジー第1番》の演奏も紹介された際、解説者の伊東信宏がこの曲を東日本震災と原発事故に絡めて語っていました。

伊東は、核実験に関係あるゴジラの曲を3.11から間もない時期に紹介することについて、指揮の今村力が言ったように平和への願いを込めた曲だと解説していました。

今ではよく知られているように、1954年の第一作『ゴジラ』は「水爆大怪獣映画」と呼ばれたように、アメリカのビキニ環礁での水爆実験と第五福竜丸の被曝がモデルとなっていました。

又、伊福部自身も第二次世界大戦中の放射能を使った科学実験で被曝して、その実験で実兄を亡くしています。辛くも生き延びた伊福部が、戦後は映画音楽の仕事も始めて、『原爆の子』(1952) や『ひろしま』(1953) といった原爆を題材にした映画に続いて『ゴジラ』の音楽も手がけたことに運命的なものを感じます。

来年の2024年は、伊福部昭の生誕110周年で、ゴジラの生誕70周年でもあるので、《SF交響ファンタジー》も再び全曲が演奏される機会が増えることを期待しています。

(敬称略)

※ 今回の記事は、10年前の記事に大幅に加筆修正したものです。
伊福部昭 『SF交響ファンタジー』 初演30周年♪」(2013年8月5日)

 

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過去の演奏(ほんの一部)

これまでの《SF交響ファンタジー》の主な演奏一覧です。まだ全てを網羅できていませんので、今後も追記していきます。尚、他にも第三者が編曲した吹奏楽版や邦楽器版などもあり、それらの演奏も多いです。

1 2 3 演奏年月日 指揮者 オーケストラ 会場
1983年8月5日 汐澤安彦 東京交響楽団 日比谷公会堂
1984年6月28日 石井眞木 札幌交響楽団 北海道厚生年金会館
1984年11月23日 石井眞木 新交響楽団 東京文化会館
1987年9月13日 金洪才 大阪シンフォニカー 伊丹市立文化会館
1989年4月8日 小松一彦 東京交響楽団 簡易保険ホール
1993年5月3日 石丸寛 新星日本交響楽団 東京芸術劇場
1993年11月23日 佐藤勝 大阪シンフォニカー 伊丹市立文化会館
1994年10月10日 原田幸一郎 新交響楽団 東京芸術劇場
1995年8月24日 広上淳一 日本フィルハーモニー
交響楽団
セシオン杉並ホール
  1997年10月25日 佐藤勝 九州交響楽団 メルパルクホール福岡
    2002年5月19日
※抜粋
石井眞木 新交響楽団 紀尾井ホール
    2004年5月 ドミトリー・
ヤブロンスキー
ロシア・フィルハーモニー
管弦楽団
Studio 5 (モスクワ)
    2004年5月31日 本名徹次 日本フィルハーモニー
交響楽団
サントリーホール
    2007年2月4日 井﨑正浩 新交響楽団 東京芸術劇場
    2007年3月4日 本名徹次 日本フィルハーモニー
交響楽団
サントリーホール
    2009年2月15日 遠藤浩史 六甲フィルハーモニー
管弦楽団
神戸文化大ホール
    2011年1月23日 田中隆英 Abendstern Chamber
Orchestra
三鷹市芸術文化センター
    2011年3月18日 岩村力 兵庫芸術文化センター
管弦楽団
兵庫県立
芸術文化センター
    2014年1月19日放送
題名のない音楽界
※抜粋
佐渡裕 日本フィルハーモニー
交響楽団
 
    2014年5月31日 大植英次 東京交響楽団 ミューザ川崎
シンフォニーホール
    2014年7月13日
※抜粋
和田薫 東京フィルハーモニー
交響楽団
東京オペラシティ
コンサートホール
    2015年1月18日 和田薫 東京フィルハーモニー
交響楽団
NHKホール
2015年7月10日、
11日、12日
John DeSentis   The Pickwick Theater,
Park Ridge, IL
    2016年5月2日 和田薫 日本センチュリー
交響楽団
ロームシアター京都
メインホール
    2016年6月12日 荻野修 栃木県交響楽団 栃木県総合文化センター
    2016年11月13日 岩村力 東京フィルハーモニー
交響楽団
NHKホール
    2017年1月22日 牧野時夫 北海道農民管弦楽団、
音更高等学校管弦楽局
音更町文化センター
    2017年3月20日 岩村力 兵庫芸術文化センター
管弦楽団
朝来市和田山
ジュピターホール
    2017年3月26日 福田一雄 中部フィルハーモニー
交響楽団
小牧市市民会館ホール
    2017年11月5日 山川すみ男 大津市管弦楽団 大津市民会館
    2017年12月16日 大友直人 名古屋フィルハーモニー
交響楽団
瀬戸市文化センター
    2018年2月11日   音更町伊福部昭記念
ジュニアオーケストラ
北ガスホール(千歳市
民文化センター)
    2018年03月18日 海老原光 日本フィルハーモニー
交響楽団
東京芸術劇場
    2018年3月20日 藤田崇文 札幌交響楽団 札幌コンサートホール
Kitara
    2018年5月20日 櫻屋敷滋人 群馬シティフィルハーモニー
オーケストラ
昌賢学園前橋ホール
(前橋市民文化会館)
    2018年6月10日 曽我大介 高松交響楽団 香川県県民ホール
    2018年7月22日 角田鋼亮 日本フィルハーモニー
交響楽団
東京芸術劇場
    2018年11月18日 曽我大介 日本IBM管弦楽団 すみだ
トリフォニーホール
    2019年2月3日 藤原真 野猿フィルハーモニー
管弦楽団
杜のホールはしもと
    2019年2月23日
※抜粋
大井剛史 東京フィルハーモニー
交響楽団
練馬文化センター
    2019年5月19日 水戸博之 東京交響楽団 Bunkamura
オーチャードホール
    2019年11月23日 村上大 New Casual Orchestra 杉並公会堂
    2019年12月8日 生島靖
寺坂隆夫
枚方フィルハーモニー
管弦楽団
寝屋川市立市民会館
    2020年9月27日 曽我大介 東京ニューシティ管弦楽団 東京芸術劇場
    2020年10月10日 太田弦 山形交響楽団 やまぎん県民ホール
    2021年2月7日 菅野宏一郎 どさんこ
ジュニアオーケストラ
音更町文化センター
    2021年7月4日 垣内悠希 交響楽団はやぶさ 川口総合文化センター
リリア
    2022年5月7日 澁谷哲久 オーケストラ和響 新宿文化センター
    2022年10月29日 山上紘生 クラースヌイ
フィルハーモニー管弦楽団
和光市民文化センター
    2022年11月23日 岩村力 九州交響楽団 アクロス福岡
シンフォニーホール
    2023年8月11日 菅野宏一郎   音更町文化センター
大ホール
    2023年9月30日 大友直人 群馬交響楽団 高崎芸術劇場 大劇場
    2023年11月3日 阿部未来 神奈川フィルハーモニー
管弦楽団
神奈川県民ホール
    2023年11月26日 高井優希 一橋大学管弦楽団 一橋大学兼松講堂
    2023年12月10日 相良浩 日立交響楽団 日立シビックセンター
音楽ホール
    2023年12月27日 中村暢宏 椙山フィルハーモニー
オーケストラ
愛知県芸術劇場
コンサートホール
    2024年1月21日 金澤茂・
工藤昭裕
バッハホール管弦楽団 中新田文化会館
(中新田バッハホール)

 

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参考資料(随時更新)

書籍、記事

『伊福部昭の宇宙』 相良侑亮 編、音楽之友社、1992年

「ゴジラ生誕40周年記念コンサート・ルポ 日本映画音楽史の一つを呈示した記念すべき日」 小林淳 著 『キネマ旬報』1994年1月下旬号

『伊福部昭の映画音楽』 小林淳、ワイズ出版、1998年

『伊福部昭・タプカーラの彼方へ』 木部与巴仁、ボイジャー、2002年

ツレがうつになりまして。』 細川貂々、幻冬舎、2009年

『伊福部昭綴る 伊福部昭 論文・随筆集』 伊福部昭、ワイズ出版、2013年

伊福部昭 ゴジラの守護神・日本作曲界の巨匠』 片山杜秀 編、河出書房新社 2014年

『伊福部昭語る 伊福部昭映画音楽回顧録』 伊福部昭 (述)、小林淳 (編)、ワイズ出版、2014年

ゴジラ映画音楽ヒストリア 1954-2016』 小林淳、アルファベータブックス、2016年

CD

CD 「伊福部昭 交響二題」 フォンテック、FOCD3140

CD 「ゴジラ・交響ファンタジー 伊福部昭の世界 ~映画音楽とクラシックの夕べ~」 VAP、VPCD-81036/37、1993年

CD 「ゴジラ~シンフォニック・コンサート~ -ゴジラ生誕40周年記念盤-」 SLC、、1994年

CD 「新交響楽団・伊福部昭 傘寿記念」 東芝EMI、TYCY-5424/25、1995年

CD 「伊福部昭の芸術4 宙 SF交響ファンタジー」 キングレコード、KICC-178、1995年

CD 「伊福部昭 米寿記念演奏会 完全ライヴ」 キングレコード、KICC377-78、2002年

CD 「伊福部昭の芸術 8 特別篇 頌 – 伊福部昭 卆寿を祝うバースデイ・コンサート」 キングレコード、KICC469-470、2004年

CD 「豪快な大戸島」 秘密結社不気味社、G.R.F.014、2004年

CD 「豪快な交響ファンタジー」 秘密結社不気味社、G.R.F.015、2005年

CD 「伊福部昭:シンフォニア・タプカーラ/ピアノとオーケストラのためのリトミカ・オスティナータ/SF交響ファンタジー第1番」 NAXOS、8.557587、2005年

CD 「伊福部昭の芸術 9 祭 – 伊福部昭音楽祭ライヴ」 キングレコード、KICC662/63、2007年

CD 「伊福部昭/SF特撮映画音楽の夕べ★実況録音盤」 東宝ミュージック、GX-6、2008年

CD 「豪快なドレミファミ~ソ~レ~ソ~ 宇宙大戦争マーチ生誕五十周年記念」 秘密結社不気味社、G.R.F.026、2009年

CD 「伊福部昭 交響頌偈「釈迦」 SF交響ファンタジー第1番」 EMI X Tower Records/Excellent Collection、QAIG-50112、2013年

CD 「伊福部昭 古稀記念交響コンサート 1984」 風樂、NOOI-5011/13、2014年

CD 「伊福部昭 没後10年記念演奏会」 ゼール音楽事務所、ZMM1609、2016年

ウェブサイト

《SF交響ファンタジー第一番》」 – 伊福部昭データベース

《SF交響ファンタジー第二番》」 – 伊福部昭データベース

《SF交響ファンタジー第三番》」 – 伊福部昭データベース

《ロンド・イン・ブーレスク》」 – 伊福部昭データベース

第6回 「リトミカ・オスティナータ考」」 – 後の祭

第8回 「キングレコードの伊福部昭作品集について」」 – 後の祭

SF交響ファンタジー第1番(1983)」 – 「インチキ教授のホームページ

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