伊福部昭《ピアノとオーケストラのためのリトミカ・オスティナータ》初演60周年

こんにちは。タムラゲン (@GenSan_Art) です。

伊福部昭 《ピアノとオーケストラのためのリトミカ・オスティナータ》 Akira Ifukube - Ritmica Ostinata per pianoforte ed orchestra

イラスト:タムラゲン Illustration by Gen Tamura

60年前の今日 (10月9日) は、伊福部昭の《ピアノとオーケストラのためのリトミカ・オスティナータRitmica Ostinata per pianoforte ed orchestra が初演された日です。

伊福部昭の全作品中、特に盛り上がる作品です。強靭な律動と豊かな音色、抜群の構成美で、個人的に最も好きな伊福部音楽の一曲でもあります。

 

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《リトミカ・オスティナータ》について

曲の成り立ち

伊福部昭は《リトミカ・オスティナータ》について、次のように書いています。

「リトミカ・オスティナータとは、執拗に反復される律動という意です。
 作者が嘗て中国に遊んだ時、小さな仏像が四方の壁全面に嵌め込まれている堂を見て、その異様な迫力に深い感動を覚えたことがあります。そのことが、この作品の構成のヒントとなっています。
 一方、吾が国の伝統音楽の律動は2と4等の偶数で出来ていますが、不思議なことに韻文では5と7が基礎となっています。この作品ではこの韻文のもつ奇数律動を主体としました。又、旋法としては伝統音階に近い六音音階(ヘクサトニック)を用いましたが、これ等三つの要素の統合によって、アジア的な生命力の喚起を試みたものです。」

― 東京交響楽団「伊福部昭 協奏四題」(1983) プログラム

1960年代当時は、十二音音楽の全盛期でした。そんな中、伊福部は敢えてその半分である六音音階で《リトミカ・オスティナータ》を作曲しました。初期作品では五音音階を使っていた伊福部は、この作品では一音増やすことによって転調の効果も狙いました。

又、伊福部が中国の熱河で感銘を受けたという大量の仏像も、蟻の大群のようにアジア的な量感を感じさせるということで、短いフレーズを繰り返す「オスティナート」として伊福部音楽のトレードマークとなりました。

余談ですが、不気味社のCD「豪快なリトミカ・オスティナータ」のケースカバーの裏面には、武蔵野音楽大学音楽理論講師・大澤徹訓による分析が掲載されています。ピアノの鍵盤と絃の写真を、小さいフォントの白字がびっちりと埋め尽くしているので、伊福部が中国で見た大量の仏像や《リトミカ》の音符のような迫力を感じました(笑)。

大戦中に作曲した《ピアノと管絃楽のための協奏風交響曲》(1941) の楽譜が一時期行方不明になっていましたので、その曲の素材も部分的に取り入れられています。伊福部も語っていたように、先に《協奏風交響曲》の素材を流用した《シンフォニア・タプカーラ》が叙情的な感じになったので、《リトミカ・オスティナータ》ではメカニックな要素を出そうとしたそうです。

初演時のピアニスト金井裕によると、伊福部は「もし、楽器もない未開の地に何の予備知識もなくグランドピアノをポンと置いておいたら、こんな曲になるんじゃないか」とも考えながら作曲したそうです。事実、伊福部がメカニックな要素を狙った通り、ピアノからは抒情的な調べが徹底的に排され、打楽器のように機械的な律動が強調された響きとなりました。

そして、反復する律動という曲名が示す通り、伊福部音楽の中でも特に具体的なイメージに限定されることのない「絶対音楽」として《リトミカ・オスティナータ》は生まれました。

初演から改訂

《リトミカ・オスティナータ》は、1961年10月9日、東京厚生年金会館にて開催された東京交響楽団 第116回定期演奏会で、上田仁の指揮、金井裕のピアノ独奏によって初演されました。

曲は単一楽章で構成されていて、編成は次の通りです。フルート2、ピッコロ、オーボエ2、コール・アングレ、クラリネット (B管) 2、バス・クラリネット、ファゴット2、コントラファゴット、ホルン (F管) 4、トランペット (C管) 3、トロンボーン2、バス・トロンボーン、テューバ、ティンパニ、打楽器奏者3人 (トムトム2、大型クラベス(Thick Claves)、カウベル2 (3.5インチ、5インチ)、コンガ2、キューバン・ティンバレス)、ハープ、独奏ピアノ、弦楽5部。

初演後に《リトミカ・オスティナータ》は、2回改訂されました。近年になって過去の様々な演奏の録音がCD化されるなどして、私達もその改訂の過程を聴き比べることができるようになりました。

伊福部昭データベース」の管理人が日本近代音楽館所蔵資料を調査した結果によると、1961年の初演版と思われた総譜は、1969年の再演に使用するため直接ペンや消しゴムを使用して改訂され、その後も現行版に改訂するために再度の加筆・削除の改訂を加えたものだそうです。

又、ピアニストの小林仁によると、1969年に改訂第二稿を初演した際、ピアノの音量を上げるために独断で左手を減らしたそうです。ところが、後に出版された決定稿を見た小林は、一音の違いもなく自分が弾いた通りに楽譜が改訂されていたことに驚いたそうです。

そして、1961年の初演から1969年の再演までにはあった中間部のアレグロ的な個所も、1971年には削除され現在の版に落ち着きました。同年、作曲者によって二台ピアノ版も作成されました。

《リトミカ・オスティナータ》の総譜は、1975年に全音楽譜出版から出版されました。

 

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個人的鑑賞記

CD、LIVE、TV

これまでに私が聴いた《リトミカ・オスティナータ》の演奏は、次の表の通りです。年代順に並べましたので、私が聴いてきた順とは異なります。

演奏年月日 ピアニスト 指揮者 管絃楽団 媒体
1961年10月9日 金井 裕 上田仁 東京交響楽団 CD
1969年2月10日 小林仁 若杉弘 読売日本交響楽団 CD
1971年1月5日・6日 小林仁 若杉弘 読売日本交響楽団 CD
1983年2月10日 藤井一興 井上道義 東京交響楽団 CD
2004年5月 エカテリーナ・
サラツェヴァ
ドミトリー・
ヤブロンスキー
ロシア・フィルハーモニー
管弦楽団
CD
2006年6月18日 山田令子 早川正昭 栃木県交響楽団 CD
2014年5月31日 山田令子 大植英次 東京交響楽団 LIVE
2014年7月6日
※小編成版
秋山由加理 大山晃 高松コンテンポラリー
ソロイスツ
LIVE
2016年6月12日 山田令子 荻野修 栃木県交響楽団 CD
2016年7月10日 山田令子 井上道義 東京交響楽団 LIVECD
2020年12月5日 松田華音 井上道義 NHK交響楽団 TV

近年まで《リトミカ・オスティナータ》のCDは少なかったので、1971年の若杉/読響/小林の録音が最も安定した演奏という評価を長く維持していました。個人的には、初めて聴いた1983年の井上/東響/藤井の録音にも愛着があります。ライヴなので素人にも分かるミスがありますが、生演奏ならではの疾走感と熱気は手に汗握るものがあります。

ライブ鑑賞記

2014/5/31「伊福部昭 生誕100年記念コンサート」(川崎市)

2014年5月31日(土)は、伊福部昭の100年目の誕生日でした。

東京交響楽団「現代日本音楽の夕べシリーズ第17回 伊福部昭 生誕100年記念コンサート」

この記念すべき日にミューザ川崎シンフォニーホールにて開催された東京交響楽団の「現代日本音楽の夕べシリーズ第17回 伊福部昭 生誕100年記念コンサート」を、妻と一緒に鑑賞しました。

曲目は、次の4曲でした。

SF交響ファンタジー第3番
二十絃箏とオーケストラのための交響的エグログ
ピアノとオーケストラのためのリトミカ・オスティナータ
交響頌偈「釈迦」

何れも、東京交響楽団が初演してきた伊福部昭の名曲です。

この日の川崎は、よく晴れて暑いくらいでした。思えば、伊福部先生の卆寿記念演奏会が開催された2004年の東京も暑かったです。

数々の伊福部音楽を指揮してきた井上道義の指揮を楽しみにしていましたが、数ヶ月前に健康上の理由で降板することになったのは残念でした。会場に貼られたポスターには、指揮者の名前と写真が、前任の井上のままのものが幾つかありました。

午後2時半に開場。ネットで購入したチケットでS席に座りました。ステージ上のオケを間近に見られます。

午後3時に開演。

降板した井上の代役として抜擢されたのは、大植英次でした。今回の演奏会まで私は知らなかった指揮者でしたので、どのような解釈になるのか期待と不安が半々でした。

《SF交響ファンタジー第3番》での大植の指揮は、音を伸ばす箇所と切る箇所が従来の演奏と大きく異なる独特のクセが気になりました。指揮者の解釈かもしれませんが、終結部の「ダーンダーンダーン、ダダダダ!」の最後の音が、今回は「ダーンダーンダーン、ダダダダ~~~ン!」と、異様に長く伸ばされたのにはビックリしてしまいました。

《交響的エグログ》での野坂操壽は、いつものように見事な二十絃箏の演奏でした。ただ、大植が独奏者の方を振り向きながら大きな身振りで指揮する度に、カフスボタンが指揮台のバーに当たってカチンと音がしていたのには閉口しました。

休憩を挟み、次が最も楽しみにしていた《リトミカ・オスティナータ》でした。

2007年に「協奏三題」のCDで初めて聴いて以来、遂に生演奏を聴く夢が叶いました。

山田令子のピアノは、迫力ある演奏で、実際に弾く姿も見れて更に迫力倍増でした。しかも、演奏の合間に微笑も浮かべていたので、伊福部音楽は聴く方だけでなく、弾く方も楽しんでいるのが伝わってきました。(勿論、実際に演奏するのは困難な超難曲ではあるのですが)

それにしても、《リトミカ》は、プロにとっても超難曲のようです。この曲では大植が指揮棒を持って指揮していたにも関わらず、素人の私でもピアノとオケの音が何かズレていると分かる箇所が幾つかありました。

ともあれ、終盤にかけて盛り上がっていき、終結部も見事にピタッと決まり、会場は熱狂の渦となりました。鳴り止まぬ拍手に応えて、指揮者とピアニストは何度も舞台袖から出てきました。

私も、そのときは興奮して満足でした。「そのとき」と書いたのは、後日CDで聴き直すと、意外にもっさりした感じがして拍子抜けしてしまったからです。やはり、初めて《リトミカ》をライブで聴けた興奮のせいか実際以上に良く聴こえたのかもしれません。

トリは大作《交響頌偈「釈迦」》でしたが、大植が指揮する第1楽章は不自然なほどテンポが忙しく、厳かに響くべきチューブラーベルズまでが矢鱈速くて、まるで回転数を間違えたレコードプレーヤーのようでした。間が持たないと思ったのかどうかは知りませんが、やはり釈迦の荘厳な世界を表現するのなら悠然としたテンポでなければならないと思います。

2014/7/6「生誕100年記念 伊福部昭の宇宙」(高松市)

「生誕100年記念 伊福部昭の宇宙」 サンポートホール高松

2014年7月6日(日)、サンポートホール高松の第1小ホールにて、「生誕100年記念 伊福部昭の宇宙」を鑑賞しました。

生誕100年効果のせいか、香川県でも遂に伊福部音楽がメインの演奏会が開催される日が来ました。

もっとも、伊福部も、大学生時代に青森のねぶた祭を見た後、香川県丸亀市まで行き、金比羅宮や屋島なども訪れたそうなので、あながち香川県とも無縁ではありません。

曲目は、以下の通りです。※以外は全て作曲・伊福部昭

土俗的三連画
演奏:高松コンテンポラリーソロイスツ
指揮:大山晃
ピアノ組曲より 「盆踊」「七夕」「佞武多」
ピアノ:岡田知子
物云舞
二十五絃箏:青木香瑠
※ 《ゴジラは踊る作曲:三木稔
※ 大河ドラマ 『赤穂浪士タイトル音楽  作曲:芥川也寸志
演奏:高松コンテンポラリーソロイスツ
指揮:大山晃
サハリン島先住民の三つの揺籃歌
メゾソプラノ:西紋美和
指揮:大山晃
演奏:高松コンテンポラリーソロイスツ
ピアノとオーケストラのためのリトミカ・オスティナータ小編成版編曲:大山晃
ピアニスト:秋山由加理
指揮:大山晃
演奏:高松コンテンポラリーソロイスツ

《リトミカ・オスティナータ》の原曲は三管編成ですが、この演奏会では指揮者の大山晃が編曲した小編成版でした。演奏前の大山のトークによると、事前に伊福部家と出版社に許可を得て編曲したそうですが、一回の演奏に2万円を支払わなければならないそうです。

小編成とは言え大山の編曲は、原曲の雰囲気を忠実に再現していて曲の力強さが些かも失われていなかったのは嬉しい驚きでした。(ただ、序盤の拍子木が少し強すぎて、ハープ等の音を聞こえにくくしていました。)

伊福部本人が編曲した2台のピアノ版もありますが、この小編成版も《リトミカ》の演奏機会を増やす役割を十分果たせそうな気がします。

大山が《リトミカ》を初めて聴いたとき「これは小編成でもいける」と思ったそうですが、それを見事に実証していました。それもその筈、大山も伊福部の名著『管絃楽法』で学んでいたのです。(それにしても、音楽関係者への『管絃楽法』の普及率の高さに改めて驚かされます。)

そして、何と言っても、ピアニストの秋山由加理が予想以上にパワフルな演奏を披露して圧巻でした。しかも、変拍子が265箇所(大山談)もあるこの難曲を何と暗譜して最後まで弾ききっていたことには驚嘆しました。

5月31日の東響と山田令子による《リトミカ》にも劣らぬ力強い演奏で、会場は大熱狂の拍手で包まれました。

全体的に、大山晃と演奏者達の伊福部昭への敬意が伝わる充実した演奏会でした。

2016/7/10「名曲全集 第119回<前期>」(川崎市)

伊福部昭/協奏四題 井上道義 指揮/東京交響楽団「名曲全集 第119回<前期>」ミューザ川崎シンフォニーホール

2016年7月10日(日)、ミューザ川崎シンフォニーホールにて、井上道義 指揮/東京交響楽団の「名曲全集 第119回<前期>」を、妻と一緒に鑑賞しました。

「協奏四題」とも呼ばれるように、この演奏会の曲目は、次の4曲でした。

オーケストラとマリンバのためのラウダ・コンチェルタータマリンバ:高田みどり
ヴァイオリンと管絃楽のための協奏風狂詩曲ヴァイオリン:山根一仁
二十絃箏とオーケストラのための交響的エグログ二十五絃箏:野坂操壽
ピアノとオーケストラのためのリトミカ・オスティナータピアノ:山田令子

これら4曲は、1983年に井上道義と東響によって演奏された伊福部昭の協奏曲であり、今回、33年ぶりに井上が同じ4曲に再び挑むという歴史的な企画でした。

因みに、拙記事では便宜上「協奏曲」と呼んでいますが、伊福部は、オケが独奏楽器の伴奏的な「コンチェルト=協奏曲」ではなく、独奏楽器とオケが対等な曲を目指していたので、曲名も「コンチェルタンテ=協奏風」という感じで付けることが多かったです。 

この演奏会では、井上道義の復帰も相まって、いやが上にも期待は高まっていました。

暑い日を更に暑くするかのように、井上道義の執念の企画を聴きに来た人達(私も含む)によって9割以上の席が埋まってきました。

私と妻の席は、ステージに近いS席。ただ、客席から向かって右側なので、ソリストが指揮者に隠れるのではと危惧しましたが、よく見えるので安堵しました。

指揮者の位置に譜面台があるだけで、指揮台が無いのが意外でした。井上道義の意向でしょうか。

予定通り、14:00 に開演。

《ラウダ・コンチェルタータ》を生演奏で聴くのも、井上道義の指揮を見るのも、今回が初めてでした。指揮棒を持たずに両手を滑らかに振る指揮は、自由なようで無駄な動きが無く、要所要所で各奏者にきびきびと的確に指示を出していました。速いテンポを予想していましたが、特に速すぎることもなく、緩急のメリハリある展開でした。高田みどりのマリンバも堅実な演奏で、十分に《ラウダ》の魅力を引き出していたと思います。終盤のミニマル音楽的な盛り上がりも最高潮に達して、ズバッ!と決まり、満場の拍手。

《協奏風狂詩曲》で、ヴァイオリニストの山根一仁は、かなり健闘していました。同じステージ上で指揮する井上と山根は、間近で向かい合ったりしながら互いにテンションを高めているようでした。こうした光景が見れるのもライブの醍醐味です。第2楽章は物凄い速さなので、山根は超絶技巧で懸命に弾きながらも、音を数カ所とばしてしまったように聞こえました。

《交響的エグログ》での野坂操壽の箏(今回は二十五絃箏)は、長年積み重ねてきた超絶技巧と伊福部音楽に対する深い理解が感じられました。とは言え、流石に体力的に厳しくなってきたのか数カ所ミスがあったようですが、それでも全体的に堂々たる演奏でした。(これが私が最後に見た野坂操壽の演奏となりました。)

そして、トリの《リトミカ・オスティナータ》です。この曲のみ井上道義は指揮棒を持って指揮していました。一昨年もそうでしたが、やはり変拍子を多用する難曲だからでしょうか。

イントロのホルンが予想以上に力強かったことに驚く間もなく、山田令子のピアノが響き始めます。

前3曲ではソリストの姿がよくみえましたが、ピアノばかりは正面か左側からでないと鍵盤が見えません。その代わり、山田令子の表情が前回以上によく見えました。又、偶然にもピアノの蓋の裏側に、上から見たピアニストの両手が鏡のように写って見えたのが面白かったです。

井上の指揮は疾走感を維持しつつも、1983年のように暴走気味にもならず、オケの統制も保っていました。(指揮者の姿がピアノに隠れてよく見えなかったが、複雑な変拍子をどのように指揮していたのでしょう?)

又、1983年に《リトミカ》を弾いた藤井一興のピアノがCDで聴いたせいか軽めな感じだったのに対して、山田令子のピアノは一昨年以上に重厚さを増したように感じました。

《リトミカ》のピアノは、よく「打楽器のようだ」と言われます。金属がぶつかり合う重機や鉄工場のような山田令子のピアノは正に伊福部が狙っていた「メカニックな要素」を見事に具現化していたと思います。

又、激しさばかり注目されがちな《リトミカ》ですが、前半の狂騒が一旦収まった後、絃楽器が優しく奏でられる静謐な中間部も堪らなく魅力的です。

そして、後半から終盤にかけて怒濤の展開。今回も取り憑かれたかのような山田令子のピアノと東響の爆演が、今回最高の盛り上がりを迎えて、最後も見事に決まりました。

いつまでも続く満場の拍手、拍手、拍手。ソリストの4人もステージに揃い、井上道義と共に拍手喝采を浴びていました。

こうして「協奏四題」は、熱狂の内に無事幕を閉じました。

長年夢見ていた井上道義指揮による伊福部協奏曲を生演奏で遂に聴けました。多少の演奏ミスも、ソリストとオケの勢いで全く気にならないので、全体的には大満足でした。

ところで、偶然にも、この日の同時刻に、香川県高松市では「伊福部昭×武満徹 名曲選」が、サンポートホール高松にて開催されていました。

香川県では珍しい邦人作曲家の演奏会なので非常に気になっていましたが、私は去年から「協奏四題」に行くことを固く決めていましたので、涙を飲んで地元の演奏会を諦めました。

伊福部昭と武満徹という対照的な二人の作曲家のほぼ唯一の接点とも言える黛敏郎もプログラムに加えた大山晃の見識に感服。

伊福部昭×武満徹 名曲選(マエストロ日記、2016年7月4日)

八尋健夫による「SF合唱ファンタジー」から抜粋された「SF三大怪獣ファンタジー」という選曲にいきなり驚かされます。不気味社も選ぶセンスが最高です。

三大怪獣夢の競演・・・!?(マエストロ日記、2016年7月6日)

後で、大山と るいまま のブログを見ますと、高松での演奏会も成功だったようです。

日本の宝や! 伊福部昭×武満徹(マエストロ日記、2016年7月10日)

伊福部昭、天才だな!(るいままとしての365日、2016年7月10日)

ひとの手のもたらす力に圧倒された一日(るいままとしての365日、2016年7月11日)

2014年の「生誕100年記念 伊福部昭の宇宙」に続き、秋山由加理はこの演奏会でも小編成版《リトミカ・オスティナータ》でパワフルな演奏を披露したそうです。

伊福部昭の没後は《リトミカ・オスティナータ》が演奏されることが多くなった感じがします。私もライヴで聴く機会がありましたので、今ではどの演奏が一番なのか選びきれないほど名演が増えてきたので嬉しい限りです。

(敬称略)

 

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参考資料

書籍、記事

「陶酔境に誘い込む 東京交響楽団「伊福部昭の夕べ」」 林光・著 『朝日新聞・夕刊』1983年2月16日

『伊福部昭の宇宙』 相良侑亮 編、音楽之友社、1992年

『伊福部昭・タプカーラの彼方へ』 木部与巴仁、ボイジャー、2002年

伊福部 昭:ピアノとオーケストラのための『リトミカ・オスティナータ』2台ピアノ版』 伊福部昭、全音楽譜出版、2002年

完本 管絃楽法』 伊福部昭、音楽之友社、2008年

伊福部昭綴る 伊福部昭 論文・随筆集』 伊福部昭、ワイズ出版、2013年

伊福部昭 ゴジラの守護神・日本作曲界の巨匠』 片山杜秀 編、河出書房新社 2014年

CD

「伊福部|小山|外山 現代日本の音楽名盤選5」 ビクターエンタテインメント、VICC-23010、1995年

「伊福部昭 協奏三題 伊福部昭作品集2」 fontec、FOCD-9087、1996年

伊福部昭:シンフォニア・タプカーラ/ピアノとオーケストラのためのリトミカ・オスティナータ/SF交響ファンタジー第1番」 NAXOS、8.557587、2005年

「伊福部昭ピアノ作品集 第一集」 ゼール音楽事務所、ZMM0812、2008年

「伊福部昭ピアノ作品集 第二集」 ゼール音楽事務所、ZMM1011、2010年

伊福部昭 作品集」 fontec、FOCD9531-32、2011年

伊福部昭:ピアノとオーケストラのためのリトミカ・オスティナータ」 ユニバーサルミュージック合同会社、TYCE-60014、2014年

「伊福部昭 没後10年記念演奏会」 ゼール音楽事務所、ZMM1609、2016年

伊福部昭「協奏四題」熱狂ライヴ」 キングレコード、KICC1342/3、2016年

「豪快なリトミカ・オスティナータ」 秘密結社不気味社、G.R.F.040、2017年

伊福部昭の純音楽」 Salida、DESL-014~016、2020年

ウェブサイト

ピアノと管絃楽のためのリトミカ・オスティナータ》 – 伊福部昭データベース

リトミカ・オスティナータ(1961)」 – 「インチキ教授のホームページ

第6回 「リトミカ・オスティナータ考」」 – 後の祭

 

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