こんにちは。タムラゲン (@GenSan_Art) です。
今日 (12月13日) は、仲代達矢の90歳の誕生日です。伝説の名優は卆寿を迎えた今も現役です。
小林正樹、黒澤明、岡本喜八など多くの名監督の作品で鮮烈な存在感を見せた仲代達矢は、今も私が最も尊敬する俳優の一人です。
仲代達矢 略歴
1932年、東京生まれ。本名は、仲代元久 (なかだいもとひさ)。
父親が早逝したため生活は苦しく、第二次世界大戦中には空襲に幾度もあうなど苛烈な幼少期を過ごしました。
戦後、様々な職を経験した後、俳優を志して、1952年に俳優座付属養成所に4期生として入所します。1955年に養成所卒業後、俳優座に入団。千田是也に師事し、『ハムレット』『令嬢ジュリー』『どれい狩り』など多数の舞台に出演しました。
映画では、俳優座養成所時代に黒澤明の『七人の侍』にエキストラとして初出演します。1956年には月丘夢路の推薦で『火の鳥』で本格的な映画デビューを果たします。映画会社大手5社から専属俳優の誘いを受けますが、フリーランスの立場を貫き通し、当時の五社協定の束縛を受けることなく各社の映画に自由に出演しました。小林正樹によって『人間の條件』の主役に大抜擢され一躍注目されます。その後も小林の『切腹』などの名作の他に、黒澤明、成瀬巳喜男、岡本喜八、市川崑など名監督の作品に多数出演して海外でも高い評価を得ます。
テレビドラマでも『新・平家物語』や『大地の子』などの大作に多く出演しました。
1975年には、俳優を育成する私塾「無名塾」を、妻・宮崎恭子と共に設立。後進の俳優を多く輩出。塾員・塾生と共に全国を巡演し続けています。
仲代達矢 主演映画十選(年代順)
現在までに仲代達矢が出演した映画全116本の内、私はまだ半分足らずの50本しか見れていません。ファンを自称しておきながら恥ずかしい限りですが、私が見れた範囲内で、仲代達矢の主演映画十選(年代順)を選んでみました。
『人間の條件』 六部作 (1959-1961)
五味川純平の反戦小説を小林正樹が映画化した超大作です。若き日の仲代は、従軍経験が無かったにも関わらず、戦争という非人間的な環境下でも良心を失わない梶を見事に演じきりました。高校生のとき、約10時間もの大長編をVHSで一気に見て打ちのめされました。
『野獣死すべし』(1959)
大藪春彦の同名ハードボイルド小説 (1958) を須川栄三が映画化した作品です。1980年に松田優作が主演した同名映画の方が有名になってしまいましたが、個人的には最初に映画化されたこちらの方が好きです。殺気に満ちた仲代の危険な魅力が全開!
『鍵』(1959)
谷崎潤一郎の同名小説 (1956) を市川崑が映画化。宮川一夫のカラー撮影が印象的。同じ市川崑の『炎上』(1958) にも通じる不遜なインターン役を、仲代は嬉々として演じています。中村雁治郎に劣らぬ変態ぶりが最高に可笑しいです。
『用心棒』(1961)
私が黒澤明と全盛期の日本映画にハマるきっかけになった思い出深い映画です。何度見ても面白い無敵の痛快時代劇です。三船の野性的な浪人と敵対するバタ臭い洒落たヤクザを仲代は好演してました。翌年の『椿三十郎』(1962) では、対照的に壮年の武士に扮して内に秘めた不気味な野心を醸し出していました。
『切腹』(1962)
小林正樹と仲代達矢コンビの最高傑作!滝口康彦の原作を巧みに脚色した橋本忍の脚本、宮島義勇の白黒シネスコ撮影、薩摩琵琶を取り入れた武満徹の音楽など、全てが第一級の名作です。高校時代にVHSで初めて見たとき、凄まじい傑作に出会えた衝撃で暫く動けなかったことを今でも覚えています。それにしても、撮影当時まだ29歳だった仲代は、孫のいる五十路の浪人を違和感なく演じてました。仲代の掘りの深いマスクとメイクに加えて、最も低いトーンの声で表現される語りが作品の重厚な雰囲気を支えていました。
『天国と地獄』(1963)
絶頂期の黒澤明が撮ったサスペンス映画の最高峰。三十郎シリーズの悪役から一転、三船敏郎が演じる靴会社の常務を助ける警部役です。後半で誘拐犯を執拗に追い詰める鬼気迫る演技が注目されがちですが、黒澤がヘンリー・フォンダのイメージを狙った前半の冷静で紳士的な雰囲気の方がプロフェッショナルの余裕を見せて魅力的だったと思います。『天国と地獄』がまだ日本国内ではビデオ化されていなかった頃、学生だった私は、真夏の暑い中、香川県から広島市映像文化ライブラリーまで一人で見に行きました。映画の面白さは勿論、スクリーンで三船と仲代の共演を見れて大興奮。食事抜きで二回の上映を続けて夢中で見ました。
『他人の顔』(1966)
安部公房と勅使河原宏のコンビでは『砂の女』(1964) が最も有名ですが、この映画も中々の佳作です。仲代達矢と武満徹の音楽は相性も良いです。私見ですが、この映画で顔中に包帯を巻き、帽子とコートを着込んだ仲代の扮装は、サム・ライミの『ダークマン』(1990) のヒントになったのではないかと睨んでいます。
『殺人狂時代』(1967)
今やすっかり有名になった岡本喜八のカルト・ムービー。とぼけたコメディアンとクールな二枚目の両面を演じこなす仲代が楽しめる二度お得な怪作です。今はなき高松東宝会館が2004年に閉館する前のオールナイト上映で見たのも懐かしい思い出です。
『影武者』(1980)
黒澤明と揉めて降板した勝新太郎の代役ということで「勝だったら…」という声が今も絶えませんが、仲代は武田信玄とその影武者の二役を非常に好演していたと思います。因みに、高野山成慶院蔵の長谷川等伯による有名な肖像画を基に黒澤が絵コンテを描いたのは明らかですが、等伯筆の肖像画は実は別人で、より信憑性が高い高野山持明院蔵の肖像画に描かれた武田晴信は痩身で細面です。偶然とは言え、仲代が演じたことにより図らずも史実の信玄に似る結果になりました。
『乱』(1985)
黒澤明が自ら「ライフワーク」と呼んだ壮大な戦国絵巻。狂気に落ちる老将に扮した仲代は、本場のリア王に勝るとも劣らぬ堂々たる名演でした。長年シェイクスピアを舞台で演じてきた演技力と映画での長いキャリアの、ある意味、集大成とも言えると思います。
仲代達矢の語り
後記の「仲代達矢 出演映画」を見ると、仲代はナレーションも多くこなしているのが分かります。
個人的に特に印象的だった仲代のナレーションは、『肉弾』(1968) です。岡本喜八の代表作であり、反戦映画の名作でもあります。『切腹』の低音の声もすこぶる魅力的な仲代ですが、『肉弾』の「モヤ」っぽい惚けたナレーションも風刺的な物語に見事に合っていました。
『哀しみのベラドンナ』(1973)、『かぐや姫の物語』(2013) などのアニメ映画の吹き替えもありますが、近年はドキュメンタリーや社会派作品のナレーションが多い感じです。
名張毒ぶどう酒事件の奥西勝死刑囚の冤罪を題材にした『毒とひまわり 名張毒ぶどう酒事件の半世紀』(2012)、『ふたりの死刑囚』(2015)、『眠る村』(2018) のナレーションを務めた仲代は、『約束~名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の生涯~』(2013) では年老いた奥西勝を演じました。
他にも、東日本大震災の地震、津波、原発事故の三重苦を強いられた人々の苦境を題材にしたドキュメンタリー『フクシマ2011~被曝に晒された人々の記録』(2012) や、1972年の沖縄返還でアメリカと激しい外交交渉をした外交官 千葉一夫を描いた『返還交渉人 いつか、沖縄を取り戻す』(2018) の語りも担当していることから、社会の不条理に対する憤りが仲代の中で今も燃え続けているように見えます。
仲代達矢と私
現時点で私が仲代達矢を直に目にしたのは3回のみです。そのときの思い出と、もう一つの意外な接点を綴ってみます。
無名塾『ロミオとジュリエット』
2014年4月13日(日)、サンケイホールブリーゼ(大阪・西梅田)にて、無名塾の『ロミオとジュリエット』を、妻と一緒に観劇しました。
映画と演劇を車輪の両輪のように活躍の場としている仲代ですが、私が彼と無名塾の公演を鑑賞できたのは、『セールスマンの死』(NHK Eテレの番組で鑑賞) と『ロミオとジュリエット』と『いのちぼうにふろう物語』のみです。
『ロミオとジュリエット』の内容は知っていましたが、フランコ・ゼフィレッリ監督による1968年の映画を公演前夜にDVDで予習してから大阪に向かいました。
仲代達矢は当時既に81歳でしたが、長台詞も何のその、軽やかな身のこなしに目を見張りました。長年憧れていた仲代の演技を直に見ることが出来て感激!と、思わずミーハーな気持ちになりました(笑)
無名塾の他の俳優達も脇に至るまで好演していたと思います。途中、階段から足を滑らしそうになった相手に対して「お、おい、大丈夫か」とさり気ないアドリブもありました(笑)
やはり舞台で俳優達の演技を直に鑑賞するのは臨場感があると思いました。
シネ・ヌーヴォ「小林正樹映画祭」
2017年7月12日(水)、「小林正樹映画祭」を開催していたシネ・ヌーヴォ (大阪・九条) へ、小林正樹の『日本の青春』(1968) を観に行きました。
7月11日(火)と12日(水) には、『人間の條件』の上映に合わせて、仲代達矢がシネ・ヌーヴォに緊急来場して舞台挨拶もして下さりました。
12日(水)の『人間の條件・完結篇』の上映後に、劇場のロビーで待つ私達も仲代の舞台挨拶を聴く僥倖に恵まれました。
仲代の姿を目にするのは、2014年の無名塾『ロミオとジュリエット』の公演以来です。このときの仲代は84歳でしたが、まだまだ矍鑠としていて改めて驚かされました。
『人間の條件・完結篇』のラストの撮影のため、6日間もの徹夜・絶食を小林に命じられたことや、凍死寸前までいったことなど過酷な撮影の裏話が聞けました。(仲代は、キャメラの宮島義勇を「みやじま・ぎゆう」と発音していました)
又、自身の戦争体験にも話は及び、戦後70年以上経った今も世界で戦争が絶えないことや日本の右傾化に対する懸念も仲代は抱いていました。
仲代達矢「このところ、時計の針が逆回りしているようだ。いつの世も、戦争をおっぱじめる時に言うのは同じ、「抑止」である。積極的平和主義と最近は言うらしいが、同じことだ。近隣諸国の脅威を煽り、自国だけが美しいと説き、その美しい国を守るために憲法を改正し、国の秘密を保護し、社会保証をカットする。軍靴の音が聞こえてくるようだ」
更に、当時公開中だった映画『海辺のリア』(2017) や、能登演劇堂にて公演が予定されていた『肝っ玉おっ母と子供たち』に込めた反戦の思いも熱く語っていました。
帰りの新幹線の時間が迫っていたので、仲代は、満員の観客からの拍手を浴びながら退場。タクシーに乗って去るのを観客とスタッフの皆で見送りました。
伝説の名優を再び近くで見ることが出来て感無量でした。
「小林正樹映画祭」を開催中のシネ・ヌーヴォのロビーでは、小林正樹の映画のポスターやスチルが多数展示されていました。
無名塾『いのちぼうにふろう物語』
2022年9月29日(木)、能登演劇堂にて、無名塾の『いのちぼうにふろう物語』を、妻と一緒に観劇しました。
非常に見応えのある舞台でした。
妻は子供の頃の家族旅行で一度だけ石川県を訪れたことがありますが、私は今回が初めてでした。妻の家族は自家用車で移動したそうですが、私達はスケジュールの都合上、高速バスで石川県まで行き、現地はレンタカーで移動することにしました。
能登演劇堂
当日の15時半頃、能登演劇堂に到着しました。
仲代達矢と能登との縁は、1983年にまで遡ります。当時、黒澤明の『乱』が撮影延期となったため、仲代は妻と義母と一緒に能登まで家族旅行に行ったそうです。都会から遠く離れた旧・中島町(現・七尾市中島町)の自然豊かな環境に感銘を受けた仲代は、1985年から能登中島合宿を始めました。無名塾と町民との交流が深まり、やがて仲代監修のもと演劇に特化した世界でも稀有な劇場である能登演劇堂が1995年に完成しました。
この日もロビーは大勢の人で溢れていて、無名塾の人気の高さが伺えました。あゆみコーナーでは、能登演劇堂での無名塾公演のポスターや大道具などが多数展示されていました。
開演10分前に、私と妻はネットで購入したチケットで入場。私と妻の席は、中央列の後方でした。ワンスロープ式の客席ですので、後ろの方でも見やすいですし、ステージ全体が見渡せるのも一興でした。
開演時間が近づくにつれ、556席ある館内はほぼ満席となり、予定通り16:30頃に『いのちぼうにふろう物語』は開演しました。
『いのち・ぼうにふろう』と『いのちぼうにふろう物語』
今回『いのちぼうにふろう物語』を見に行こうと思った個人的な動機は、何と言っても1971年の小林正樹の映画『いのち・ぼうにふろう』との比較でした。
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参考までに、映画と舞台の主なスタッフ・キャストの名前を一覧にしてみました。
『いのち・ぼうにふろう』 | 『いのちぼうにふろう物語』 | |
スタッフ | ||
監督(演出) | 小林正樹 | 林清人 |
脚本 | 隆巴 | 隆巴 |
美術(装置) | 水谷浩 | 垣内紀男 |
音楽 | 武満徹 | 池辺晋一郎 |
照明 | 下村一夫 | 遠藤正義 |
キャスト | ||
定七 | 仲代達矢 | 川村進 |
おみつ | 栗原小巻 | 朝日望 |
おきわ | 酒井和歌子 | 根本朱理、川下千尋、石川凛乃 |
幾造 | 中村翫右衛門 | 仲代達矢 |
同心 金子 | 神山繫 | 鎌倉太郎 |
与兵衛 | 佐藤慶 | 進藤健太郎 |
富次郎 | 山本圭 | 赤羽秀之 |
同心 岡嶋(岡島) | 中谷一郎 | 別所晋 |
政次 | 近藤洋介 | 大塚航二朗 |
灘屋の小平 | 滝田祐介 | × |
お京 | × | 小宮久美子 |
源三 | 岸田森 | 渡辺翔 |
文太 | 山谷初男 | 上水流大陸 |
船宿の徳兵衛 | 三島雅夫 | 別所晋 |
仙吉 | 植田峻 | 十代修介 |
由之助 | 草野大悟 | 中山研 |
夜番 勝兵衛 | 矢野宣 | 島田仁 |
名のない男 | 勝新太郎 | 平井真軌 |
灘屋文七 | 吉田道広 |
映画『いのち・ぼうにふろう』をDVDで最初に見たときは、原作者・山本周五郎の人情噺と小林正樹の芸術的な演出が水と油のようだと思いました。その後、何度見ても同じ感想でした。
仲代をはじめ、俳優座の方々は豪華な配役で演技も申し分なく、撮影や美術も重厚でしたのに、同じ小林の『切腹』や『上意討ち 拝領妻始末』に及ばないのは、脚本が原因ではないのかと長い間思っていました。
そんな生意気なことを考えながら観劇したのですが…
結論から先に言いますと、無名塾の『いのちぼうにふろう物語』は、映画『いのち・ぼうにふろう』より心に響く素晴らしい舞台でした。
映画版は極上の映像美でありながら登場人物とは距離感を感じましたが、舞台は直に俳優の演技を体験するということもあり、隆巴(宮崎恭子のペンネーム)が台本に込めた思いがよりストレートに伝わってきました。
考えてみれば、最初に映画を見たとき、深川安楽亭を主な舞台とした群像劇が舞台向きだと思ったものでした。すると、リアル指向の映画より、様式化された舞台の方が物語も不自然に感じられないのかもしれません。
又、映画版では武満徹の感情移入を拒むかのような冷徹な音楽が、映画を更に冷たい雰囲気にしていました。『切腹』や『上意討ち』のような厳格な武家社会を描いた映画になら合っていた武満のストイックな音楽演出も山本周五郎の世界とはかけ離れていたのでしょうか。無名塾の常連でもある作曲家・池辺晋一郎の音楽は(良い意味で)通俗的な感じでしたので、山本周五郎の人情噺によく合っていたと思います。
隆巴が舞台用に執筆した台本は映画とほぼ同じ内容ですが、細部に幾つか異なる点があります。
先ず、映画は同心の金子と岡島が勝兵衛から安楽亭の説明を受ける場面から始まりますが、舞台は仲間を二人斬られた安楽亭の男達が命からがら戻る場面から始まります。この冒頭の改変によって、地図上から安楽亭を客観的に見る映画よりも観客の気持ちを安楽亭に一体化させています。
映画では、危険な抜け荷の仕事を持ちかけるのは灘屋の古平という狡猾な男でしたが、舞台では、お京という女性ななっていました。しかも、定七に惚れている設定でした。
映画ではひたすら苛々するキャラだった富次郎は舞台でも同じやらかしを演じますが、不思議なことに映画ほど苛つくことはありませんでした。その理由はよく分かりませんが、舞台では映画のようにアップなどが無いので他の登場人物の演技でイラつき度が相殺されたのかもしれません。
舞台では、ラスト近くで安楽亭が取手に包囲されたことを知った男達が太鼓、摺鉦、笛を鳴らしてお祭り騒ぎを始める場面が追加されています。危険な抜け荷に出掛けた定七達を待ちながら世を明かしたり、雀が死んでしまうなど気持ちが沈む場面が続いた後に、一転してクライマックスに雪崩れ込む合図のようで、観客のテンションも一気に高める効果的な脚色と演出でした。
無名塾の名演
仲代達矢が名演だったのは言うまでもありません。かつて小林正樹の映画で定七を演じた仲代は、1982年のテレビドラマ『地獄の掟』では安楽亭の主人・幾造を演じるようになり、能登演劇堂でロングラン公演となった無名塾の『いのちぼうにふろう物語』でも幾造を演じ続けています。
当時89歳の仲代は幾造より高齢となりましたが、舞台上ではそうした年齢差を一切感じさせませんでした。それどころか映画で幾造を演じた中村翫右衛門より若く見えるときすらありました。あの年齢で、舞台上から後方の客席までよく通る発声が出来るのは驚異的でした。
呼び掛けられたときに、「んん?」と、いつもの仲代さんの惚けた口調が出たのはご愛嬌ですが(笑)
発声と言えば、無名塾の他の俳優も堂々たるものでした。冒頭から結末に至るまで全ての俳優の台詞が明瞭に聞こえました。やはり、舞台上での発声を重視する仲代によってみっちり鍛えられたのかもしれません。
特に、定七役の川村進は低音の力強い声が魅力的で、映画で同役を演じた仲代に勝るとも劣らない貫禄を見せていました。又、映画で与兵衛を演じたのは佐藤慶でしたが、流石に「生き仏」という異名からはかけ離れて見えましたので、舞台で同役を演じた進藤健太郎の方が役に合っていたように思えました。
発声に話を戻しますと、ラストの大捕物で、バックステージの森の奥の方まで駆けていった俳優の声まで聞こえたのには驚きました。
因みに、能登演劇堂のトレードマークでもある舞台奥の大扉の観音開きは、場面が暗転している間に全開になっていました。私の想像ですが、劇の途中で開くと観客の注意が物語から舞台装置に逸れてしまうからでしょうか。ともあれ、多数の御用提灯が灯された中で展開する捕物も、舞台上の様式化された殺陣が映画とは一味違う見せ場を盛り上げていました。
カーテンコールでは、宮崎恭子の遺影が掲げられて、更に大きな拍手を呼びました。仲代夫妻が長年かけて築き上げてきた無名塾と能登との熱い繋がりも感じられて、私も妻も胸が熱くなりました。カーテンコールは三度にも及び、この日の公演も盛況の内に幕を閉じました。
北陸朝日放送公式チャンネルのニュースでも、最終リハーサルの映像の一部などが見れます。
意外な接点
舞台、映画、テレビでしか見ることの出来ない遠い存在と思っていた仲代達矢ですが、意外なところで身近な接点がありました。
数年前、高松市内のギャラリーで私が個展を開催したときのことです。来廊してくださった義姉の両親と話していた際、どういう話の流れか仲代達矢が話題に上りました。すると、二人が市内で経営していた薬局に仲代が訪問したことがあると聞かされ、飛び上がりそうなほど吃驚しました。
その薬局の創業者(義姉の祖父)が1986年に自費出版した自叙伝によると、ことの流れは次の通りです。1968年夏、ポポンS販売高四国一の記録を樹立した薬局は、シオノギ製薬(株)より感謝状と賞金10万円を受け、「当時の若手俳優」仲代達矢の表敬訪問を受けたそうです。
自叙伝に掲載された写真を見ると、紛れもなく仲代でした。
彼がポポンSのイメージキャラクターだったことも義姉の両親から聞いて初めて知りました。イタリア映画『野獣暁に死す』の撮影を終えた後だと思いますが、多忙な中、まだ瀬戸大橋が無かった頃の香川県にまでわざわざ足を運んだということは、北海道や九州でのポポンS販売記録を立てた薬局も訪問したのでしょうか。
1968年の仲代達矢は、30代半ばで、小林正樹や黒澤明の映画に何度も出演して既に著名な俳優となっていましたが、1920年 (大正9年) 生まれの創業者から見れば「若手」だったのかもしれません。
1940年に徴兵適齢期を迎えた創業者は、徴兵されたものの関東軍の陸軍衛生兵となり、満州で5年を過ごしました。しかも、要領良く立ち回ることで1945年には内地に帰還することに成功し、衛生兵として学んだ医療知識を基に薬局を開業しました。
同じ満州での日本兵とは言え、「軍隊は要領を本分とすべし」とする創業者は、仲代達矢が演じた梶とはキャラがかなり異なりますが、内心では軍国主義に反発していました。今では故人となった創業者が『人間の條件』の原作や映画をどう思っていたのか気になります。
まとめ
これまでに仲代達矢が出演した映画を振り返ると、その役の多彩さに改めて目を見張ります。
重厚な役から飄々とした役、正義感溢れる善人から傲岸不遜な悪人まで同一人物とは思えない役柄の幅広さも驚異的です。
『乱』の一文字秀虎の年齢 (70歳) や、三船敏郎の享年 (77歳) どころか、小林正樹の享年 (80歳) や、黒澤明の享年 (88歳) さえ越えて今もなお現役の俳優でいることも更に驚異的です。
コロナ禍で演劇が制限される中でも仲代は鍛錬を続けて、自ら「役者としてのグランドフィナーレ」と呼んだ『いのちぼうにふろう物語』の公演を成功させました。しかも、来年は3月に『バリモア』の主演が決定していて、10月には『等伯―反骨の画聖―』の演出まで手掛ける予定です。
常に前に向かって進み続ける名優 仲代達矢の更なる活躍を応援しています。
(敬称略)
仲代達矢 出演作品
演劇
公演年 | 題名 | 作者 | 演出 |
1954 | 赤いランプ | 眞船豊 | 千田是也 |
1954 | 若人よ蘇れ | 三島由紀夫 | 千田是也 |
1955 | 女村長アンナ | フリードリヒ・ヴォルフ | 千田是也 |
1955 | 馬どろぼう | バーナード・ショー | 木村鈴吉 |
1955 | 三ちゃんと梨枝 | 田中千禾夫 | 島田安行 |
1955 | 森は生きている | マルシャーク | 青山杉作 |
1955 | どれい狩り | 安部公房 | 千田是也 |
1955 | 町人貴族 | モリエール | 田中千禾夫 |
1955-56 | 幽霊 | イプセン | 大木靖 |
1956 | 死せる魂 | ゴーゴリ | 土方与志 |
1956 | 鋏 | 田中澄江 | 阿部広次 |
1956 | 死水を下からとった話 | 田中千禾夫 | 島田安行 |
1957 | タルチュフ | モリエール | 田中千禾夫 |
1957 | りこうなお嫁さん | 千田是也 | 岩村久雄 |
1958 | 令嬢ジュリー | ストリンドベリ | 大木靖 |
1959 | 愛と死の戯れ | ロマン・ロラン | 田中千禾夫 |
1961 | 黄色い波 | 小山祐士 | 千田是也 |
1962 |
一度に二人の主人を持つと | ゴルドーニ | 小沢栄太郎 |
1963 | ものみな歌で終わる | 花田清輝 | 千田是也 |
1964-65 | ハムレット | シェイクスピア | 千田是也 |
1964 | 東海道四谷怪談 | 鶴屋南北 | 小沢栄太郎 |
1966 | アンナ・カレーニナ | トルストイ | 千田是也 |
1967 | どれい狩り | 安部公房 | 千田是也 |
1968 | 紅塵 | ショーン・オケーシー | 阿部広次 |
1968 | 東海道四谷怪談 | 鶴屋南北 | 小沢栄太郎 |
1970 | オセロ | シェイクスピア | 千田是也 |
1973 | 愛の眼鏡は色ガラス | 安部公房 | 安部公房 |
1974 | リチャード三世 | シェイクスピア | 増見利清 |
1974 | 友達 (改訂版) | 安部公房 | 安部公房 |
1975-76 | どん底 | ゴーリキー | 増見利清 |
1975 | 令嬢ジュリー | ストリンドベリ | 隆巴・関谷幸雄 |
1977 | ジュリアス・シーザー | シェイクスピア | 増身利清 |
1978 | オイディプス王 | ソポクレス | 隆巴 |
1980 | ソルネス | イプセン | 隆巴 |
1981 | 毒の華 マンドラゴラ | マキャヴェッリ | 隆巴 |
1982 | マクベス | シェイクスピア | 隆巴 |
1985 | どん底 | ゴーリキー | 隆巴 |
1986 | プァー・マーダラー 哀しき殺人者 | パヴェル・コホウト | 隆巴 |
1987 | ルパン | 隆巴 | 隆巴 |
1988 | 肝っ玉おっ母と子供たち | ブレヒト | 隆巴 |
1990 | シラノ・ド・ベルジュラック | エドモン・ロスタン | 隆巴 |
1991 | 令嬢ジュリー | ストリンドベリ | 隆巴 |
1993 | リチャード三世 | シェイクスピア | 隆巴 |
1995 | ソルネス | イプセン | 隆巴 |
1996 | リチャード三世 | シェイクスピア | 隆巴・林清人 |
1997 | いのちぼうにふろう物語 | 山本周五郎 (隆巴) | 林清人 |
1998 | 愛は謎の変奏曲 | E・E・シュミット | 宮田慶子 |
1999 | どん底 | ゴーリキー | 林清人 |
2000 | セールスマンの死 | アーサー・ミラー | 林清人 |
2001 | ウィンザーの陽気な女房たち | シェイクスピア | 林清人 |
2002 | セールスマンの死 | アーサー・ミラー | 林清人 |
2003 | 森は生きている | サムイル・マルシャーク | 仲代達矢 |
2004 | いのちぼうにふろう物語 | 山本周五郎 (隆巴) | 林清人 |
2005-09 | ドライビング・ミス・デイジー | アルフレッド・ウーリー | 丹野郁弓 |
2008 | ドン・キホーテ | セルバンテス | 丹野郁弓 |
2009 | マクベス | シェイクスピア | 林清人 |
2010 | ジョン・ガブリエルと呼ばれた男 | イプセン | 栗山民也 |
2011 | 炎の人 | 三好十郎 | 鵜山仁 |
2012 | ホブソンズ・チョイス | ハロルド・ブリッグハウス | 丹野郁弓 |
2013 | 授業 | ウージェーヌ・イヨネスコ | 林清人 |
2013-14 | ロミオとジュリエット | シェイクスピア | 高瀬久男 |
2014-15 | バリモア | ウィリアム・ルース | 丹野郁弓 |
2015 | 死の舞踏 (朗読劇) | ストリンドベリ | 小林政広 |
2015-16 | おれたちは天使じゃない | アルベール・ユッソン | 丹野郁弓 |
2017-18 | 肝っ玉おっ母と子供たち | ブレヒト | 隆巴 |
2019-20 | ぺてん師 タルチュフ | モリエール | 髙橋和男 |
2020 | 人間失格 (朗読劇) | 太宰治 | 岡山矢 |
2022 | 左の腕 | 松本清張 | 仲代達矢、岡山矢 |
2022 | いのちぼうにふろう物語 | 山本周五郎 (隆巴) | 林清人 |
2023 | バリモア | ウィリアム・ルース | 丹野郁弓 |
映画
※は、私が観た作品です。
公開年 | 題名 | 監督 | 役名 |
1954 | 七人の侍 ※ | 黒澤明 | 通りすがりの浪人 (ノンクレジット) |
1954 | かくて自由の鐘は鳴る | 熊谷久虎 | |
1955 | 市川馬五郎一座顛末記 浮草日記 | 山本薩夫 | 組合の青年 |
1956 | 火の鳥 | 井上梅次 | 長沼敬一 |
1956 | 裸足の青春 | 谷口千吉 | 和田雄次 |
1956 | サザエさん | 青柳信雄 | ノリスケ |
1956 | おしどりの間 | 木村恵吾 | 安藤 |
1957 | 大番 | 千葉泰樹 | 新どん |
1957 | あらくれ | 成瀬巳喜男 | 木村 |
1957 | ひかげの娘 | 松林宗恵 | 本橋 |
1957 | 続大番 風雲篇 | 千葉泰樹 | 新どん |
1957 | 危険な英雄 | 鈴木英夫 | 今村記者 |
1957 | 肌色の月 | 杉江敏男 | 滝二郎 |
1957 | 黒い河 ※ | 小林正樹 | 人斬りジョー |
1957 | 続大番 怒涛篇 | 千葉泰樹 | 新どん |
1957 | サザエさんの青春 | 青柳信雄 | ノリスケ |
1958 | 乾杯!見合結婚 | 瑞穂春海 | 笹田国彦 |
1958 | 母三人 | 久松静児 | 河上健作 |
1958 | 夜の波紋 | 内川清一郎 | 真崎 |
1958 | 結婚のすべて | 岡本喜八 | 中山明 |
1958 | ぶっつけ本番 | 佐伯幸三 | 原 |
1958 | 大番 完結篇 | 千葉泰樹 | 新どん |
1958 | 風流温泉日記 | 松林宗恵 | 島田和夫 |
1958 | 炎上 ※ | 市川崑 | 戸刈 |
1958 | 裸の太陽 | 家城巳代治 | 新どん |
1959 | 人間の條件 第一部 純愛篇・第二部 激怒篇 ※ | 小林正樹 | 梶 |
1959 | 野獣死すべし ※ | 須川栄三 | 伊達邦彦 |
1959 | 鍵 ※ | 市川崑 | 木村 |
1959 | 銀座のお姐ちゃん | 杉江敏男 | 田村京助 |
1959 | 暗夜行路 | 豊田四郎 | 要 |
1959 | 人間の條件 第三部 望郷篇・第四部 戦雲篇 ※ | 小林正樹 | 梶 |
1960 | 女が階段を上る時 ※ | 成瀬巳喜男 | 小松謙一 |
1960 | 娘・妻・母 | 成瀬巳喜男 | 黒木信吾 |
1960 | 青い野獣 | 堀川弘通 | 黒木康彦 |
1960 | みな殺しの歌より 拳銃よさらば! | 須川栄三 | 坪田 |
1961 | 人間の條件 完結篇 第五部 死の脱出・第六部 曠野の彷徨 ※ | 小林正樹 | 梶 |
1961 | 用心棒 ※ | 黒澤明 | 卯之助 |
1961 | 妻として女として ※ | 成瀬巳喜男 | 南 |
1961 | 雲がちぎれる時 | 五所平之助 | ジェームス・キムラ |
1961 | 永遠の人 ※ | 木下惠介 | 小清水平兵衛 |
1962 | 椿三十郎 ※ | 黒澤明 | 室戸半兵衛 |
1962 | からみ合い ※ | 小林正樹 | 古川菊夫 |
1962 | お吟さま | 田中絹代 | 高山右近 |
1962 | 切腹 ※ | 小林正樹 | 津雲半四郎 |
1962 | 乳房を抱く娘たち | 山本薩夫 | 賢一 |
1963 | 憂愁平野 | 豊田四郎 | 巽魚次郎 |
1963 | 天国と地獄 ※ | 黒澤明 | 戸倉警部 |
1963 | 白と黒 | 堀川弘通 | 浜野一郎 |
1963 | 五十万人の遺産 ※ | 三船敏郎 | 群司満 |
1963 | みれん | 千葉泰樹 | 木下涼太 |
1963 | 女の歴史 | 成瀬巳喜男 | 秋本隆 |
1964 | ミスター・ジャイアンツ 勝利の旗 | 佐伯幸三 | 優勝祝賀パーティーの客 |
1964 | 蟻地獄作戦 | 坪島孝 | 一色中尉 |
1965 | 怪談 ※ | 小林正樹 | 巳之吉 |
1965 | 最後の審判 | 堀川弘通 | 金井次郎 |
1965 | 股旅 三人やくざ | 沢島忠 | 初雁の千太郎 |
1965 | 四谷怪談 ※ | 豊田四郎 | 民谷伊右衛門 |
1965 | 血と砂 ※ | 岡本喜八 | 佐久間大尉 |
1966 | 五匹の紳士 | 五社英雄 | 笈田 |
1966 | 大菩薩峠 ※ | 岡本喜八 | 机竜之助 |
1966 | 他人の顔 ※ | 勅使河原宏 | 男 |
1966 | 沈丁花 | 千葉泰樹 | 金平教授 |
1967 | 殺人狂時代 ※ | 岡本喜八 | 桔梗信治 |
1967 | 佐々木小次郎 | 稲垣浩 | 宮本武蔵 |
1967 | ゴメスの名はゴメス 流砂 | 高橋治 | 坂本修 |
1967 | 上意討ち 拝領妻始末 ※ | 小林正樹 | 浅野帯刀 |
1967 | 旅路 | 村山新治 | 室伏雄一郎 |
1967 | 日本のいちばん長い日 ※ | 岡本喜八 | ナレーション |
1968 | 斬る ※ | 岡本喜八 | 源太 |
1968 | 連合艦隊司令長官 山本五十六 ※ | 丸山誠治 | ナレーション |
1968 | 肉弾 ※ | 岡本喜八 | ナレーション |
1968 | 野獣暁に死す | トニーノ・チェルヴィ | James Elfego |
1969 | 御用金 | 五社英雄 | 脇坂孫兵衛 |
1969 | 若者はゆく 続若者たち | 森川時久 | ナレーション |
1969 | 栄光への5000キロ | 蔵原惟繕 | 竹内正臣 |
1969 | 日本海大海戦 ※ | 丸山誠治 | 明石元二郎 |
1969 | 人斬り | 五社英雄 | 武市半平太 |
1969 | 地獄変 ※ | 豊田四郎 | 絵師良秀 |
1969 | 天狗党 | 山本薩夫 | 仙太郎 |
1970 | 蝦夷館の決闘 | 古沢憲吾 | 本庄大膳亮 |
1970 | 幕末 | 伊藤大輔 | 中岡慎太郎 |
1970 | 無頼漢 | 篠田正浩 | 片岡直次郎 |
1970 | 座頭市あばれ火祭 | 三隈研次 | 浪人 |
1970 | 商魂一代 天下の暴れん坊 | 丸山誠治 | 吉田東洋 |
1971 | 暁の挑戦 | 舛田利雄 | 塚越 |
1971 | 激動の昭和史 沖縄決戦 | 岡本喜八 | 八原博通 |
1971 | いのち・ぼうにふろう ※ | 小林正樹 | 定七 |
1971 | 出所祝い | 五社英雄 | 岩橋清治 |
1973 | 王将 | 堀川弘通 | 関根八段 |
1973 | 哀しみのベラドンナ | 山本暎一 | 悪魔 (声) |
1973 | 人間革命 ※ | 舛田利雄 | 日蓮 |
1973 | 朝やけの詩 | 熊井啓 | 作蔵 |
1974 | 華麗なる一族 | 山本薩夫 | 万俵鉄平・万俵敬介 |
1975 | 青春の門 | 浦山桐郎 | 伊吹重蔵 |
1975 | 吶喊 ※ | 岡本喜八 | 土方歳三 |
1975 | 吾輩は猫である | 市川崑 | 珍野苦沙弥 |
1975 | 金環蝕 | 山本薩夫 | 星野康雄 |
1976 | 挽歌 | 河崎義祐 | 桂木節雄 |
1976 | 続人間革命 | 舛田利雄 | 日蓮 |
1976 | 不毛地帯 | 山本薩夫 | 壱岐正 |
1977 | 姿三四郎 | 岡本喜八 | 矢野正五郎 |
1978 | 女王蜂 | 市川崑 | 大道寺銀造 |
1978 | 雲霧仁左衛門 ※ | 五社英雄 | 雲霧仁左衛門 |
1978 | 火の鳥 ※ | 市川崑 | ニニギ |
1978 | ブルークリスマス | 岡本喜八 | 南一矢 |
1979 | 闇の狩人 | 五社英雄 | 清右衛門 |
1980 | 二百三高地 | 舛田利雄 | 乃木希典 |
1980 | 影武者 ※ | 黒澤明 | 武田信玄・影武者 |
1981 | 日本の熱い日々 謀殺・下山事件 | 熊井啓 | 矢代 |
1982 | 鬼龍院花子の生涯 | 五社英雄 | 鬼龍院政五郎 |
1982 | 遠野物語 | 村野鐡太郎 | 乙蔵 |
1983 | 日本海大海戦 海ゆかば | 舛田利雄 | ナレーション |
1983 | 宇宙戦艦ヤマト 完結編 | 勝間田具治、西崎義展 | ナレーション |
1984 | 北の螢 | 五社英雄 | 月潟剛史 |
1985 | 乱 ※ | 黒澤明 | 一文字秀虎 |
1985 | 食卓のない家 ※ | 小林正樹 | 鬼童子信之 |
1986 | 熱海殺人事件 ※ | 高橋和男 | 二階堂伝兵衛 |
1986 | 道 | 蔵原惟繕 | 田島精治 |
1987 | ハチ公物語 ※ | 神山征二郎 | 上野秀次郎 |
1987 | トリナクリア PORSCHE 959 | 村野鐡太郎 | マサシ |
1988 | 優駿 ORACION ※ | 杉田成道 | 和具平八郎 |
1988 | アナザーウェイ D機関情報 | 山下耕作 | 島村 |
1989 | 226 | 五社英雄 | 杉山元 |
1989 | 戦場にかける橋2/クワイ河からの生還 ※ | アンドリュー・V・ マクラグレン |
原田少佐 |
1991 | フィレンツェの風に抱かれて | 和泉聖治 | 坂崎 |
1991 | 陽炎 | 五社英雄 | 村井常次郎 |
1992 | 豪姫 | 勅使河原宏 | 古田織部 |
1992 | 遠き落日 | 神山征二郎 | 小林栄 |
1992 | 妖獣都市 香港魔界篇 ※ | マック・タイ・キット | 元大宗 |
1993 | 子連れ狼 その小さき手に | 井上昭 | 柳生烈堂 |
1993 | 月光の夏 | 神山征二郎 | 風間森介 |
1994 | 第2回欽ちゃんのシネマジャック ~蛍の光~ | 萩本欽一 | あやしげな客 |
1995 | EAST MEETS WEST | 岡本喜八 | 勝麟太郎 |
1996 | 宮澤賢治 その愛 | 神山征二郎 | 宮澤静次郎 |
1999 | 金融腐蝕列島〔呪縛〕 ※ | 原田眞人 | 佐々木英明 |
2000 | 雨あがる ※ | 小泉堯史 | 辻月丹 |
2002 | 助太刀屋助六 ※ | 岡本喜八 | 片倉梅太郎 |
2002 | 白い犬とワルツを | 月野木隆 | 中本英助 |
2002 | 陽はまた昇る | 佐々部清 | 松下幸之助 |
2003 | 阿修羅のごとく | 森田芳光 | 竹沢恒太郎 |
2005 | 男たちの大和/YAMATO ※ | 佐藤純彌 | 神尾克己 |
2006 | 犬神家の一族 | 市川崑 | 犬神佐兵衛 |
2009 | 引き出しの中のラブレター | 三城真一 | 速見恭三 |
2010 | 春との旅 ※ | 小林政広 | 中井忠男 |
2010 | 座頭市 THE LAST | 坂本順治 | 天道 |
2012 | フクシマ2011 被曝に晒された人々の記録 | 稲塚秀孝 | 語り |
2012 | 毒とひまわり 名張毒ぶどう酒事件の半世紀 | 齊藤潤一 | 語り |
2012 | ツナグ ※ | 平川雄一朗 | 秋山定之 |
2013 | 約束~名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の生涯~ | 齊藤潤一 | 奥西勝 |
2013 | 日本の悲劇 | 小林政広 | 村井不二男 |
2013 | 書くことの重さ 作家 佐藤泰志 | 稲塚秀孝 | 語り |
2013 | 人類資金 | 坂本順治 | 笹倉暢彦 |
2013 | かぐや姫の物語 ※ | 高畑勲 | 炭焼きの老人 (声) |
2014 | ジョバンニの島 | 西久保瑞穂 | 瀬能純平 (声) |
2015 | 仲代達矢「役者」を生きる ※ | 稲塚秀孝 | 本人 |
2015 | ゆずり葉の頃 | 中みね子 | 宮謙一郎 |
2015 | NORIN TEN~稲塚権次郎物語 | 稲塚秀孝 | 稲塚権次郎 |
2015 | 果し合い | 杉田成道 | 庄司佐之助 |
2016 | ふたりの死刑囚 | 鎌田麗香 | ナレーション |
2017 | 海辺のリア ※ | 小林政広 | 桑畑兆吉 |
2018 | 返還交渉人 いつか、沖縄を取り戻す | 柳川強 | 語り |
2018 | ああ栄光は君に輝く | 稲塚秀孝 | 語り |
2018 | 眠る村 | 齊藤潤一、鎌田麗香 | ナレーション |
2019 | ある町の高い煙突 | 松村克弥 | 関根兵馬 |
2020 | 帰郷 | 杉田成道 | 宇之吉 |
2022 | 峠 最後のサムライ | 小泉堯史 | 牧野雪堂 |
テレビドラマ
放送年 | 題名 | 放送局 | 役名 |
1964 | 加賀騒動 | フジテレビ | 大槻伝蔵 |
1965 | 荒野の素浪人 | フジテレビ | 峠九十郎 |
1965 | 戸田家の兄妹 | フジテレビ | |
1966 | 鶴八鶴次郎 | フジテレビ | |
1966 | 釣忍 | フジテレビ | |
1966 | しゅるしゅる | フジテレビ | |
1966 | その木戸を通って | フジテレビ | |
1966 | 旅路 | フジテレビ | |
1967 | 失踪 | フジテレビ | |
1967 | ゴメスの名はゴメス | フジテレビ | 坂本修 |
1967 | 沓掛時次郎 | フジテレビ | 沓掛時次郎 |
1972 | 大河ドラマ 新・平家物語 | NHK | 平清盛 |
1973 | それは暗闇から始まる | テレビ朝日 | |
1975 | 欧州から愛をこめて | 日本テレビ | 勝村義朗 |
1976 | 光は東方より 野口英世伝 | TBS | 野口英世 |
1977 | 海は甦える | TBS | 山本権兵衛 |
1977 | 砂の器 | フジテレビ | 今西栄太郎 |
1977 | 昭和怪盗傳 | テレビ朝日 | |
1978 | 追いつめる | フジテレビ | 志田司郎 |
1979 | アマゾンの歌 | フジテレビ | 小沼信一 |
1981 | 着ながし奉行 | フジテレビ | 望月小平太 |
1982 | 丹下左膳 剣風!百万両の壺 | フジテレビ | 丹下左馬介 |
1982 | 地獄の掟 | フジテレビ | 幾造 |
1983 | 影狩り | フジテレビ | 室戸十兵衛 |
1983 | 樅ノ木は残った | フジテレビ | 原田甲斐 |
1984 | 闇の歯車 | フジテレビ | |
1987 | 太閤記 | TBS | 語り |
1988 | 飢餓海峡 | フジテレビ | 弓坂刑事 |
1989 | 友よ静かに瞑れ | フジテレビ | 新藤 |
1990 | 十三人の刺客 | フジテレビ | 島田新左衛門 |
1990 | ビジネスマンの父より息子への30通の手紙 | NHK | |
1990 | 荒木又右衛門 決戦・鍵屋の辻 | NHK | 荒木又右衛門 |
1990 | 戦艦大和 | フジテレビ | 伊藤整一 |
1991 | 忠臣蔵 風の巻・雲の巻 | フジテレビ | 大石内蔵助 |
1992 | 風車の浜吉捕物綴 | フジテレビ | 根津の浜吉 |
1993 | 欅の家 | NHK | 吉村平吉 |
1993 | 清左衛門残日録 | NHK | 三屋清左衛門 |
1993 | 五粒の真珠 | 毎日放送 | 御木本幸吉 |
1993 | 静かなる熱狂 イサム・ノグチと女優 | 札幌テレビ | イサム・ノグチ |
1995 | 清左衛門残日録 仇討ち!播磨屋の決闘 | NHK | 三屋清左衛門 |
1995 | 大地の子 | NHK | 松本耕次 |
1996 | 大河ドラマ 秀吉 | NHK | 千利休 |
1997 | 霧の旗 | フジテレビ | 大塚欽三 |
1997 | 鏡は眠らない | NHK | 大島恭一郎 |
1998 | 京都高瀬川殺人事件 | フジテレビ | 宮之原警部 |
2000 | 袖振り合うも | NHK | 丸山岩男 |
2001 | 嘱託刑事・小山田昭平 | テレビ東京 | 小山田昭平 |
2002 | 春が来た | NHK | 太郎兵衛(甘利長門) |
2004 | 世界の中心で、愛をさけぶ | TBS | 松本謙太郎 |
2005 | 大化改新 | NHK | 南淵請安 |
2005 | 望郷 | NHK | 語り |
2005 | 星に願いを~七畳間で生まれた410万の星~ | フジテレビ | 若宮崇令 |
2006 | 新・人間交差点 | NHK | 寺島由次 |
2007 | 大河ドラマ 風林火山 | NHK | 武田信虎 |
2007 | 遠い国から来た男 | TBS | 津山雄作 |
2012 | ドラマWスペシャル 學 | WOWOW | 風間信一 |
2012 | 約束~名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の生涯~ | 東海テレビ | 奥西勝 |
2014 | ドラマW 罪人の嘘 | WOWOW | 羽根田健之 |
2015 | 土曜ドラマ 破裂 | NHK | 倉木蓮太郎 |
2015 | 藤沢周平 新ドラマシリーズ 果し合い | BSスカパー!・ 時代劇専門チャンネル |
庄司佐之助 |
2016 | ドラマW コールドケース ~真実の扉~ | WOWOW | |
2016 | 巨悪は眠らせない 特捜検事の逆襲 | テレビ東京 | 橘洋平 |
2017 | 返還交渉人 ―いつか、沖縄を取り戻す― | NHK BSプレミアム | 語り |
参考資料(随時更新)
書籍
『深川安楽亭』 山本周五郎、新潮社、1973年
Joan Mellen, Voices from the Japanese Cinema, Liveright, 1975
『影武者』 東宝株式会社事業部、1980年
『役者 MEMO 1955-1980』 仲代達矢、講談社、1980年
『乱』 東宝 出版・商品販促室、1985年
『巨匠のメチエ 黒澤明とスタッフたち』 西村雄一郎、フィルムアート社、1987年
『全集 黒澤明 第五巻』 黒澤明、岩波書店、1988年
『全集 黒澤明 第六巻』 黒澤明、岩波書店、1988年
『黒澤明 集成』 キネマ旬報社、1989年
『キネマ旬報』 1996年12月下旬号、キネマ旬報社
『キネマ旬報復刻シリーズ 黒澤明コレクション』 キネマ旬報社、1997年
『黒澤明 夢のあしあと』 黒澤明研究会 編、共同通信社、1999年
『武満徹著作集 3』 武満徹、新潮社、2000年
『広瀬飛一写真集 人間・仲代達矢』 広瀬飛一、無名塾、2002年
『大系 黒澤明 第2巻』 黒澤明 著、浜野保樹 編、講談社、2009年
『大系 黒澤明 第3巻』黒澤明 著、浜野保樹 編、講談社、2010年
『未完。仲代達矢』 仲代達矢、KADOKAWA、2014年
『もう一度 天気待ち 監督・黒澤明とともに』 野上照代、草思社、2014年
『黒澤明と三船敏郎』 ステュアート・ガルブレイス4世、櫻井英里子 訳、亜紀書房、2015年
『サムライ 評伝 三船敏郎』 松田美智子、文藝春秋、2015年
『遺言 未来の日本へ』 日野なおみ、大竹剛 編、日経BP社、2015年
『生誕100年 映画監督・小林正樹』 庭山貴裕、小池智子 編、公益財団法人せたがや文化財団 世田谷文学館、2016年
『映画監督 小林正樹』 小笠原清、梶山弘子 編、岩波書店、2016年
『仲代達矢が語る日本映画黄金時代 完全版』 春日太一、文藝春秋、2017年
『仲代達矢 役者七十周年』 無名塾、2021年
「人間は弱いもの。それでも努力する/俳優 仲代達矢さん」 しんぶん赤旗 日曜版、2022年1月2日・9日合併号
「俳優 仲代達矢さん/無名塾公演「左の腕」 過去に罪犯し、底辺で生きる主人公/不寛容な時代でいいのか」 しんぶん赤旗 日曜版、2022年2月27日号
「無名塾「いのちぼうにふろう物語」 俳優 仲代達矢さん/輝く人間性 どんな人にも/亡き妻・隆巴の脚本 一緒にやり遂げたい」 しんぶん赤旗 日曜版、2022年8月28日号
『無名塾 いのちぼうにふろう物語』 2022年(演劇堂で販売されたパンフレット)
DVD・Blu-ray
DVD 『黒澤明 創造の軌跡 黒澤明 “THE MASTERWORKS” 補完映像集』 東宝株式会社、2003年
Blu-ray 『切腹』 松竹株式会社、2004年
Blu-ray, Kagemusha, The Criterion Collection, 2009
Blu-ray, Yojimbo, The Criterion Collection, 2010
Blu-ray, Sanjuro. The Criterion Collection, 2010.
Blu-ray, High and Low. The Criterion Collection, 2011.
Blu-ray, Harakiri. The Criterion Collection, 2011.
Blu-ray, Kwaidan. The Criterion Collection, 2015.
DVD 『いのち・ぼうにふろう』 東宝株式会社、2016年
Blu-ray 『乱 4Kデジタル復元版 Blu-ray BOX』 KADOKAWA、2016年
Blu-ray, The Human Condition. The Criterion Collection, 2021.
外部リンク
無名塾 – 公式サイト
能登演劇堂 – 公式サイト
映画『雨あがる』公式サイト
映画『約束~名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の生涯~』公式サイト
映画『かぐや姫の物語』公式サイト
映画『ジョバンニの島』公式サイト
映画『乱 4Kデジタル修復版』公式サイト
映画『ゆずり葉の頃』公式サイト
映画『NORIN TEN~稲塚権次郎物語』公式サイト
映画『ふたりの死刑囚』公式サイト
映画『ああ栄光は君に輝く』公式サイト
映画『眠る村』公式サイト
映画『ある町の高い煙突』公式サイト
映画『帰郷』公式サイト
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